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Vol.1 著作権と著作隣接権


最近、著作権についてのニュースも増えてきました。

バンドマンはもちろん著作権を気にします。
ホームページを作ったことのある人も著作権を気にすることが多いのではないでしょうか?

著作権を気にしたことがない人にとっては
「何でそんな厳しいこと言われなければならないんだろう」と思っているかもしれません。

また、ホームページの中には、
「著作権を守ってください」と書いておきながら著作権を思いっきり侵害しているものもあります。

では、「なぜ著作権が大切か」ということと、著作権の内容について紹介します。


著作権は財産です。

アーティストは、著作権という権利で収入を得て生活しています。
曲を作って、レコーディングなどをして、それによって発生した権利があるからお金がもらえるのです。

わかりやすくするために、このお金を「給料」としておきましょう。
CDなどをコピーされたら、権利による収入が減るのですから、普通の人でいうと給料が減ったのと同じことになります。
たったの1枚だけならと思っていても、それを何人もの人がコピーしたら大きな金額になります。

著作権の侵害=給料泥棒なのです。

あなたがバイトしてもらった給料の一部を、誰かに勝手に使われてしまったら・・・

「大金を稼いでいるのに著作権にうるさい」とアーティストを批判する人もいますが、この金額に大きいも小さいもありません。
友達に「100円おごって」と言われておごってあげることはあるでしょう。
ですが、あなたの知らない人が給料袋から勝手に100円を持っていってしまったら・・・
100円でも腹が立ちますよね?

だから著作権を守ることは大切なのです。


著作権とは、著作物に発生する権利です。
まずは、著作物について知りましょう。

著作物とは、思想または感情を創造的に表現したもので、文芸・学術・美術・音楽の範囲にあるものをいいます。

たとえば、音楽は完全に著作物ですね。
たとえばホームページでは、文字のならびかた、画像などが著作物になります。
新聞やニュースなどで知ることができる事実などは著作物にはなりません。

そして、著作物を作った人を著作者といいます。


著作物、著作権は著作権法という法律で保護されます。

著作者が著作物を作った時点で権利が発生し、著作物を公表してから50年間が権利の保護期間になります。

外国の著作物については、さらに約10年、保護期間が長くなっています。
また、著作権法の改正によって期間が変更される場合もあるので注意が必要です。


著作権は財産です。

著作権はお金や土地などと同じように財産ですので、他人に譲渡したり相続ができます。
著作権を売ったり、タダであげることもできるのです。

そして、著作権を持っている人を著作権者といいます。

著作者 著作物を作った人
著作権者 著作権を持っている人

著作権を譲渡しなければ、著作者=著作権者です。
著作権を譲渡したのであれば、著作者と著作権者が別人になります。


音楽などの著作物を使用するときには、著作権者の許可が必要になります。
タダで許可されることもありますし、著作権使用料などの条件がつけられることもあります。
著作権者の許可なしに勝手に著作物を使用することは法律に違反したことになります。

著作物を使用するとは、次のような場合をいいます。

複製すること 音楽や歌詞カードをコピーするなど
上演・演奏などをすること コピーバンドで演奏するなど
公衆送信すること インターネットに歌詞をのせたり、MP3やMIDIで音楽を流したりするなど
譲渡すること CDを友達にあげたり、フリーマーケットで売ったりすることなど
貸与すること CDを友達に貸すことなど

これらは、すべて著作権者の許可が必要になるのです。


また、演奏している人・バンドにも権利があります。
演奏している人のもつ権利を著作隣接権といい、その権利を持っている人のことを著作隣接権者といいます。

また、CDなどの製作者にも著作隣接権が発生します。
音楽そのものを作ったのが著作者で、それを音源などの形にするために関わった人が著作隣接権者なのです。

著作物を使用するときには著作権者の許可だけ必要だったのですが、
実際に演奏されたものを使用するときには著作隣接権者の許可も必要になります。

複製すること CDをコピーするなど
公衆送信すること インターネットでMIDIではなく実際に演奏されたものを流したりするなど
譲渡すること CDを友達にあげたり、フリーマーケットで売ったりすることなど
貸与すること CDを友達に貸すことなど

著作権とくらべると、少しだけ少ないですね。


これらはすべて許可が必要なのですが、私的利用の場合のみ、許可なしでも大丈夫です。

私的利用とは、自分と家計を共にする者だけの間で使用することを言います。
つまり、家族の中だけで使うためにコピーしたり、兄弟での貸し借りは大丈夫です。
いとこ、結婚して別の家庭を持った兄弟、友達などの場合は私的利用とはいいません。


では著作物を使用したい場合は・・・

アーティストに直接許可をもらうのではありません。
ほとんどのアーティストは著作権管理団体に著作権を委託、または譲渡しています。
ですから、著作権管理団体の許可をもらえばいいのです。

著作権管理団体はJASRAC(ジャスラック・日本音楽著作権協会)をはじめとして4つの団体があります。(2003年10月現在)
これらの団体では、著作権使用料を支払うことを条件に楽曲の使用を認めてくれます。

アーティストごとに、どの団体に著作権を委託しているのか違いますが、CDなどに書いてあるはずです。

また、どの著作権管理団体にも著作権を委託していないアーティストもいます。
この場合、楽曲を使用するためにはアーティストに直接許可をもらわなければなりません。

結構お金もかかりますし、面倒くさいですよ。


では、著作権を侵害したらどうなるか・・・

著作権法という法律によって罰せられます。
著作権法第百十九条により、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金刑になります。
もちろん前科がつきます。

それだけでは済みません。

民事でも裁判が行われます。
こちらの裁判では、損害賠償の金額が決められます。
3年以下の懲役、または300万円以下の罰金というのにプラスして、損害賠償を支払わなければなりません。

これは実際に損害を与えた金額になります。
CDを10枚コピーしたら、そのぶんの著作権料等が損害賠償額になります。
金額は少ないと思うかもしれませんが、著作権侵害を証明するための調査費用や裁判費用なども請求されるでしょう。
たった10枚でかなりの金額になってしまうこともあるのです。

また、インターネットなどで不特定多数の人に著作物を公開してしまった場合、
何人に公開したのか、どれくらいの損害を与えたのかがわからなくなってしまいます。
著作権管理団体がどれくらいの損害賠償をするかはわかりませんが、
ビジネスの世界ではインターネットでの著作物公開は1000万円の損害賠償請求というのが相場のようです。


2004年11月、日本レコード協会が
インターネット上でファイル交換ソフトを使って音楽データを公開していた人たちの取り締まりに動き出しました。
インターネット接続プロバイダーに個人情報の公開を求め、損害賠償請求を行うようです。

インターネットが普及してきたので、これから、著作権についてもっと厳しくなっていきそうです。
著作権・著作隣接権にはじゅうぶんに注意してくださいね。


Vol.2 肖像権・パブリシティ権


■肖像権

バンドのメンバーの写真など、それを他の人に公開しても良いかを決める権利は、その写真の本人が持っています。
アーティストの契約内容によっては、事務所(プロダクション)が持つ場合もあります。

撮った写真を許可なく勝手に他の人に見せたり、焼き増ししたり、メールで友達に送ったり、ホームページに載せたりなどは、
肖像権の侵害にあたります。

しかしながら、アーティストの場合では、写真を他の人に広めてもらうことで宣伝にもなります。
そのため、アーティストの写真の場合は罪にはなりません。

ですが注意して下さい。
プライベートの写真など、アーティストが望まない写真を流出させた場合、それは肖像権の侵害になります。
民事裁判での損害賠償額は、過去の例からすると数万円〜30万円くらいになるでしょう。
ですので、できるだけ許可を取ることが理想です。


■パブリシティー権

アーティストの写真などを使って商売をする権利です。
この権利は、マネージメント契約によって、事務所(プロダクション)が独占することになります。

こちらは肖像権とは違い、かなり厳しくチェックされます。

アーティストの写真を使ってグッズを作り、それを売り出すなどは、パブリシティー権の侵害にあたります。
アーティストの写真などを見せ合うための有料の会員制コミュニティーなどを作る場合も同様になりそうです。

こちらの損害賠償額は、その商売によって事務所がどれだけ利益を失ったかにもよりますので、相場がありません。
過去の裁判の例では、100万円弱程度の例から1000万円を超える例までありました。


Vol.3 「うわさ」に注意


友達とバンドやバンドマンについての話をすることもあるでしょう。

多くの場合は、特に注意していなくても大丈夫ですが、
場合によっては「ウワサ」を流したことが、「名誉毀損」、「侮辱罪」、「信用棄損および業務妨害」にあたることがあります。

その流したウワサが「本当か、ウソか」ということは、ほとんど関係ありません。
「相手の社会的な地位や評価を下げたかどうか」という点がポイントになります。

ですから、たとえ本当のことでも、相手の地位を傷つけるようなウワサは危険です。
(逆に、相手の地位や評価を傷つけなければ、ウソのウワサを流してもほとんど問題ないとも言えるのですが)


■名誉棄損

名誉棄損(めいよきそん)とは、
ほかの人も聞くことができるような場所や、ほかの人に聞かれてしまうかもしれないような場所で
「事実」を言って人の名誉を傷つけることをいいます。

ここでわかりにくい表現が出てきているのですが、
「ほかの人」とは、「ウワサをする人」と「ウワサの内容に出てくる人」以外のすべての人のことをいいます。

「Aさんが、他の誰にも聞かれない場所で友達のBさんにバンドマンCさんの悪いうわさをした」という場合、
AさんとCさん以外は「ほかの人」という扱いなので、「友達のBさん」=「ほかの人」になるのです。
ですから、この場合は法律に違反したことになります。

つまり、「ほかの誰も聞くことができない場所で相手に直接言う」という以外は、
すべて法律に触れるのです。

もうひとつのわかりにくい表現は「事実」という表現です。
「事実」とは、「○○が、△△していた」などのように、具体的な表現でウワサをすることを意味しています。

その「事実」が本当でも、実際にはなかった事実(ウソ)だったとしても、同じように罪になるのです。
つまり、本当のことを言っても罪になってしまいますし、
ウソでも、具体的な表現をして、いかにも本当であるかのように言ってしまったら罪になるのです。

名誉棄損は、刑法第230条により、3年以下の懲役または禁固、または50万円以下の罰金刑が科せられ、前科もつきます。

それに追加して民事裁判によって損害賠償を請求されます。
過去の裁判の例からすると、損害賠償額の相場は200万円程度になるでしょう。


■侮辱罪

事実を言うのではなく、抽象的なことを言った場合は、名誉棄損ではなく侮辱罪(ぶじょくざい)が適用されます。

侮辱罪は拘留または科料が科せられます。
拘留とは、1日以上30日未満のあいだ拘留所に拘置することをいい、
科料とは1000円以上1万円未満の軽い罰金のようなものをいいます。
侮辱罪の場合は前科はつきません。


■信用棄損および業務妨害

信用棄損および業務妨害(しんようきそん および ぎょうむぼうがい)とは、
ウソのうわさを流して人の信用を落としたり、業務を妨害することをいいます。
3年以下の懲役、または50万円以下の罰金刑が科せられます。

名誉棄損と区別できますか?

悪いうわさを流せば名誉棄損になるのですが、
「○月○日にCDを発売する」などの悪気のないウソのうわさを流しても罪に問われることがあります。
そのうわさが広がって、バンドの活動をさまたげたり、バンドの信用をなくしてしまった場合、
信用棄損および業務妨害になるのです。

信用棄損および業務妨害は、刑法第233条により、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金刑が科せられ、前科もつきます。

それに追加して民事裁判によって損害賠償を請求されます。
信用棄損による損害とともに、ウワサによって業務を妨害されたことによる損失の全額が請求されるので、
場合によっては、かなりの額になるかもしれません。


これらのような3つの罪があるので、気をつけてくださいね。

もちろん好きなバンドの悪いうわさを流す人はほとんどいないでしょう。
ですが、あなたの好きなバンドではなくても、ウワサには注意してくださいね。

注意するとは言っても、悪いことを言わないだけで大丈夫です。
簡単ですよね?

でも、ウワサされるってことは大物の証拠ですね。


Vol.4 未成年に法律は関係ない?


未成年に法律は関係ない?

もしもあなたが未成年だったとしても、法律を犯してはいけません。
未成年の場合でも14才以上であれば何らかの責任を問われます。

「少年裁判は刑罰が甘い」と思っていたら後悔しますよ。

刑事裁判での刑期などが短いだけで、民事裁判では成人と同じように扱われます。
つまり、年齢に関係なく損害賠償は支払わなければなりません

裁判官の判断にもよりますが、
一般的に13才未満の場合は親が損害賠償を支払い、
13才以上の場合はあなた本人が損害賠償を支払わなければならなくなります。
たとえそれが、どれだけ大きな金額であってもです。
お小遣いやアルバイト代を全額、何年もかけてずっと支払い続けなければならなくなってしまうかもしれないのです。

また、被害を受けた相手が、法律で解決しようと考えるとは限りませんよ。


Vol.5 実際に訴える人って本当にいるの?


裁判は難しいと思っていませんか?

手続きが大変だったり、弁護士が必要だったり、訴えるためにもかなりの時間や費用がかかったり・・・
このような話はよく聞きます。

そこで、このように思うかもしれません。

「裁判は大変なんだから、少しのことくらいで訴える人って本当にいるの?」
「実際に訴える人って少ないんじゃないの?」
「裁判はイメージダウンになるのでは?」

実際にバンドのイメージを落とさないために裁判をしない人もいるでしょう。
「これから表舞台に出て行こうって人がイメージ下げてどうする」と言われ、訴えるのをやめた人もいます。

しかし、逆を言ってしまえば、売名行為にも利用できます。
裁判をすることでバンドの名前が有名になるのです。
宣伝に利用するバンドがいてもおかしくはないでしょう。

もちろん、被害を受けたということで、普通に訴える人もいるでしょう。

では、裁判の大変さは?

刑事裁判は簡単です。
警察に被害届けを出すだけなのですから。
あとは、証人として呼ばれることがあるかもしれないというレベルです。

また、民事裁判も簡単です。
少額訴訟という制度により、30万円までの損害賠償ならば、弁護士もつけずに1日で裁判してしまうことができるのです。
多くの人が想像しているような、大掛かりで大変な裁判だけではないのです。

実はこの少額訴訟という制度・・・
訴える内容を2つに分け、2回に分けて少額訴訟をすれば、30万円×2で、60万円の請求ができるのです。
3回に分ければ90万円ですね。


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