BAND-Member Staff Fan.com BAND-MSF企画・運営 バンドマン養成所 音楽著作活動サポート バンド結成マニュアル バンド活動マニュアル バンド戦略論 バンド用語辞典 バンドスタッフ バンドファン 楽器屋 音楽関連ショップ バンド関連書籍 バンド生活サポート バンド資金調達所 バンドツアー準備 音楽・現金プレゼント バンドメンバー募集・スタッフ募集 全国ライブハウス一覧 バンドサイトランキング
バンドマン養成所
Let’s be a musician. あなたもバンドマン・ミュージシャンになろう
>パート選びのウラ事情
 >パートが違えば環境も違う 将来設計はパート選びから


Step 1 誰でも簡単にはじめられるパートは?


まず、パートを選ぶキッカケは?

バンドをはじめるキッカケと同じようにパートを選ぶキッカケもあります。

歌うことが好きでヴォーカルになった人は圧倒的に多いですし、
カラオケなどで友達にうまいと言われてバンドのヴォーカルをやりたいと思った人もいるかもしれません。
好きなミュージシャンにあこがれてギターをはじめた人もいれば、
本当はギターをやりたかったけれども、友達もギター希望だったためにじゃんけんをして負けてベースをはじめたという人もいます。
サークルやクラブ活動でひととおり全パートを経験して、自分にいちばん合ったパートを選んだという人もいます。

とくにパートを選ぶキッカケの見つからなかったあなたは、このサイトを参考にしてみてください。
ここではバンドでよく使われている、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス、キーボードを紹介しています。
このサイトを見て将来設計を考えてパートを選んだって言ってみるのもおもしろいかもしれませんね。


では、誰でも簡単にはじめられるパートは?

度胸さえあればヴォーカルがいちばん簡単にはじめられるでしょう。
ヴォーカルは楽器を用意する必要がないだけでなく、普段から歌を歌ったりしているので新しいことを覚える必要もありません。
ですからいちばん手軽にはじめることができるといえます。
ですがライブなどを目標にバンドを組むわけですから、多くの人の前で歌う度胸が必要です。


次に簡単にはじめられるパートはベースでしょう。
準備しなければならないものは楽器本体のほかに楽器のケース、シールド(楽器とアンプなどをつなぐコード)、
ストラップ(ギターをかける肩ひも)、ピック、弦、チューナー(音の高さをあわせるための器械)です。
できれば自宅練習用の小型アンプもほしいところです。
これらを全部そろえると結構お金がかかると思います。
初心者セットで2万円〜2万5千円くらい(2004年1月現在の調査)で買うのもいいですし、
高い楽器を買ってみるのもいいでしょう。

演奏面でいったら、ベースはギターとくらべて弦の数が通常4本しかないので、
ギターが複数の弦を同時に押さえて鳴らさなければならないのにたいして
ベースではひとつの音だけを鳴らせばいいので簡単です。
コードを覚えなくてもTAB譜(どの弦のどの場所を押さえればよいか書いてある楽譜)を見ながら
書いてある指のポジションどおりに弾いていけば、いろいろなバンドのコピーをすぐにでもすることができます。

手が小さい人には無理だという話を聞いたことがあるのですが、僕は手が大きいほうなので本当のところはわかりません。
もし興味があったら友達や楽器屋さんで触らせてもらってみてくださいね。


その次はギターでしょうか?
準備しなければならないものは楽器本体のほかに楽器のケース、シールド、ストラップ、ピック、弦、チューナーです。
できれば自宅練習用の小型アンプもほしいところです。
これらを全部そろえると結構お金がかかると思います。
初心者セットで2万円〜2万5千円くらい(2004年2月現在の調査)で買うのもいいですし、
高い楽器を買ってみるのもいいでしょう。

エレキギターはベースと少し違い、音を加工するのが一般的です。
楽器とアンプを直接つなぐのではなく途中にエフェクター(音を変える効果のある器械)を通します。
音を歪ませるエフェクターを通したり音を広げる効果のあるエフェクターを通したりするのです。
もちろんエフェクターを使わないでアンプで音を調節するギターもいれば、エフェクターを使うベースもいます。
エフェクターはひとつにつき数千円かかります。
ですからベースよりもお金がかかるのです。

演奏に関してはギターはまずコードを覚えることからはじめます。
たまにコードが押さえられずにギターを断念する人もいます。
プロでもコードを知らないという人は多いのですが、
コードさえ覚えてしまえば多くのジャンルの曲やオリジナルにもすぐに対応できるようになります。
ギターの最初の難関はコードです。
「コードを覚えていて押さえることができる=ギターが弾ける」といってもいいでしょう。
実際にほかのパートを専門でやっている人がギターのコードだけ覚えてしまって、
ギターも弾けますと言っているのをよく耳にします。


キーボードで準備しなければならないものは楽器本体と電源アダプターとシールド2本です。
シールド2本でなくRCA(赤と白のセットになったコード)のタイプのものもありますので、楽器本体を確認してみましょう。
また、電源アダプターなども必要になります。
キーボードを貸し出してくれるスタジオもあるので最初は何も準備しなくてもはじめられるかもしれません。
ですがライブをやるようになったら自分の機材が必要になります。

キーボードは小さいころにピアノをやっていた人がバンドでキーボードを弾いていることも多く、
まったく鍵盤に触れたことのない人がいきなりバンドでキーボードをやってみようということは少ないように思います。
ほとんどの人の場合、
小さいときにギターに触れる環境にあった人よりも
ピアノやオルガンなどに触れる環境にあった人のほうが多いでしょう。
学校などにもピアノはありましたし、
楽器屋さんに行ったとき店員さんに声をかけてギターを弾かせてもらうよりも
置いてある鍵盤楽器のほうが気軽に触ることができるでしょう。
ですから簡単にはじめられるかどうかは一概にはいえません。

今までに鍵盤を多く触った人にとっては簡単で、
触る機会が少なかった人にとっては少しだけ難易度が高いのかもしれません。
僕は家にピアノがあって鍵盤に触れることも多かったのでキーボードをはじめるには簡単でしたが
両手で弾けるようになるには少し苦労しました。


いちばん大変なのがドラムでしょう。
機材に関していえば、最初に準備しなければならないものはスティックだけです。
ドラムセットは必要ありません。
ドラムセットはスタジオにもライブハウスにも用意されています。
もし仮にドラムセットがあったとしても、家でドラムセットを叩いて練習できる人は少ないことでしょう。
ですから最初はスティックだけ用意すればいいのです。
スティックは折れてしまうことがあるので数本は準備しておきましょう。

演奏に関していったら一般的もドラムが難しいと思われています。
手と足がそれぞれ別々に動くなんてふつうの人にはできないって思われるかもしれません。
ですがこれは練習しだいです。
僕はドラムではないのですが少しだけなら叩けるようになりました。
ですからドラムのパートを選んだ人が練習しても叩けるようにならないなんてことはないはずです。


Step 2 数ヵ月間をのぞいてみよう


それぞれのパートをはじめて数ヶ月。
あなたが選んだパートやほかのパートはどうしているのでしょうか?
どんな練習をしてるのでしょうか?


ヴォーカルの場合、機材はまったく必要がありません。
ですから機材にお金はまったくかかりませんし、手ぶらで練習に行くことができます。
練習はどうしているかといったらバンドでの練習のときに歌うくらいです。
あとはバンドでやる曲のCDを聴いて歌詞を覚えたりCDにあわせて歌ってみるくらいでしょうか。
その曲がカラオケに入っていたらカラオケに行って練習することもあるかもしれません。
このことから「ヴォーカルはいちばんお金がかからない」、「ヴォーカルは歌詞を覚えるだけなので楽だ」という考え方があります。


ギターは楽器本体と備品をケースに入れて持ち歩きます。
使用するエフェクターが多いほど荷物が増えて移動が大変になります。

また、弦は消耗品なのでこまめに換えることが必要になります。
弦の交換時期は3日に1回程度といわれています。
ですが金銭的にかなり負担になると思うので、
初心者のうちは1ヶ月に1回は交換、ライブの前には必ず交換くらいでいいと思います。
そのぶんチューニングをこまめにしてください。

家での練習方法は運指(左手の指を動かす)トレーニングや、
メトロノームやCDに合わせて弾くトレーニングが中心になるでしょう。
コードをひととおり覚えたならばコードが載っている歌本を見て歌いながら弾いてみたり、
他のバンドの難しいフレーズを弾くことに挑戦したりします。

ギターはコードさえ覚えて押さえられるようになっていればアレンジを簡単にするなどしてどんな曲にも対応できます。
ギターはコードさえできればいちばん簡単なパートだといえそうです。
エフェクターをいろいろ調節してみて変わった音色を探してみるのもおもしろいでしょう。


ベースもギター同様に楽器本体と備品をケースに入れて持ち歩きます。
弦は消耗品なのでこまめに換えることが必要になります。
ベースの弦の交換時期は1ヶ月に2回程度といわれています。
ベースの弦は高く金銭的に負担になると思うので、
初心者のうちは3ヶ月に1回は交換、ライブの前には必ず交換くらいでいいと思います。
そのぶんチューニングをこまめにしてください。

家での練習方法は運指(左手の指を動かす)トレーニングや、
メトロノームやCDに合わせて弾くトレーニングが中心になるでしょう。
好きなバンドの楽譜を買ってきて、弾いてみてもいいでしょう。


ドラムで必要な機材はスティックだけですが、ペダルをできるだけ早くペダルを買ってしまうことをおすすめします。
スタジオやライブハウスごとに違うペダルを使うのではなく、
自分専用の使い慣れたペダルというものは非常に使いやすいものです。

ドラムの練習方法は、スティックを使ってメトロノームに合わせてのリズムのトレーニングが中心でしょう。
ドラムは自宅で練習することが難しく、スタジオをひとりで借りて練習するのが一般的です。
そのためスタジオ代がほかのパートよりも多くかかります。
ですが、毎日スタジオを借りて練習することは金銭的に無理があるでしょう。
そのため、かわりになるような練習を自宅でします。

自宅で練習する場合、音が近所周辺に響いてしまわないように枕などをたたいて練習する人も多いようです。
ドラムの練習用にパッド(叩いてもほとんど音が鳴らないゴム製のドラム)なども売っています。
金銭的に余裕があるのならばシンセドラムを買ってしまうのもひとつの方法です。
シンセドラムとはドラムセットに近い形をしながらもすべてのドラムがゴム製のため周辺に音が漏れず、
ヘッドホンを通してドラムの音が出るというものです。
シンセドラムセットを持っていればスタジオをひとりで借りて練習をする必要がないかと思うかもしれませんが、
シンセドラムと通常のドラムとではたたく感覚が違うので、たまにはスタジオを借りて練習をすることも必要です。


キーボードはスタジオなどに練習に行くときには非常に重くて移動が大変です。
スタジオによってはキーボードを貸してくれるところもあるかもしれませんが、
できれば自分のものを使って練習したいところです。
キーボードの自宅での練習はヘッドホンを使ったり音を小さくして練習したりできます。


Step 3 ライブではどんな感じ?


それぞれのパートのライブでの役割はどうなっているのでしょうか。

ライブをするようになれば、最初はじめることが簡単ではなかったパートにメリットが出てきたり、
最初は簡単にはじめることができたパートがあまり目立たないようになっていったりもします。


バンドに限らず、音楽を聴く人達は演奏ではなくまず歌を聴くという人がほとんどです。
ですから歌の良し悪しでバンドの良さが決まると言っても過言ではありません。

また、ライブでステージの中央にいるのはヴォーカルです。
ライブを見たり演奏を聴いたりする人の注目するのは、まずいちばんにヴォーカルなのです。
バンドの顔はヴォーカルで、バンドのイメージはヴォーカルで決まるのです。
こういったことが原因で、一般的にはヴォーカルにいちばんファンがつくといわれています。

音にこだわりのあるヴォーカルは自分専用のマイクを持っていたりします。
何本もマイクを持っていてライブやレコーディングなどの用途に応じて使いわけをしている人もいます。
演出にこだわりたいのなら、ワイヤレスマイクやマイクスタンドを用意するといいでしょう。


ギターは音の目立つパートです。
歌のない間奏などの部分ではギターが主役になっていることがよくあります。
間奏ではギター以外の音も鳴っているのですから本来はソロとはいいませんが、
ギターが主役になっているという意味合いからギターソロと呼ばれます。
その間ライブを見たり演奏を聴いたりする人の注目はギターに集まります。
ヴォーカルに続いてファンがつきやすいともいえます。

ライブ活動をしていくようになり、自分専用のアンプなどを欲しくなることがあるかもしれません。
ふつうのライブハウスでは最低でも100W以上の出力のあるアンプが必要でしょう。
それに対して家庭練習用では15Wくらいのアンプでもじゅうぶんです。
ライブでも自宅でも使えるようにと中途半端に60W出力などのアンプを買ってきても
実際にはライブに対応できず家庭でしか使うことができなくなり、
15W程度のアンプとくらべてお金も結構かかるので後悔してしまいそうです。
ライブ用のアンプをもっていたうえで、それに近い音で自宅でも練習したいというときに
同じメーカーの60Wなどのアンプが重宝することもあります。


ベースはふつうはあまり目立たないパートかもしれません。
メンバーが華やかにステージを作っていても、一人落ち着いて弾いているのがベースであることも多いです。
ジャンルによってはベースが目立つものもあります。

ベースはドラムのリズムに合わせる一方で音程を付けていくので、メロディーとリズムの中間に位置しています。
ドラムとセットにしてリズム隊とよばれることもあれば、メロディーを弾いていることもあります。
ベースはリズムとメロディーの2つを結びつけていく役目をするパートなのです。
つまりはベースは自らは目立たず、ほかのメンバーの音がまとまるようにサポートしているのです。

オリジナル曲のアレンジをするのであってもルート弾き(基本となる音を弾き続けること)を主体でやっていけば、
あまり苦労することなくいろいろな曲に対応できます。

ライブ活動をしていくようになり、自分専用のアンプなどを欲しくなることがあるかもしれません。
ベースアンプでギターと同じ大きさの音を出すためには、ギターアンプの2倍の出力が必要になります。
ライブに対応できるギターアンプは100W以上と紹介したので、ベースアンプでは200W以上といいたいところですが、
僕が実際に250Wのベースアンプを使ってみたところライブへの対応はギリギリのところでした。
これをもとに考えると300Wくらいは欲しいところでしょう。


ドラムは難しいと思われているためでしょうか?人口が極端に少ないです。
かなり多くのバンドがドラムを欲しがっているので、いろいろなバンドで引っ張りだこになり、
バンドが見つからなくて苦労することはないでしょう。
これがドラムのいちばんの利点です。

ドラムはバンドの一番後ろに構えているのでふつうは目立たないパートです。
ライブではほとんどの場合、ドラムがテンポを決めて全員がそれに合わせます。
ドラムはリズムの要です。
ドラムのリズムが狂ってしまえばバンド全体のリズムがくずれてしまいます。
責任が重大なパートでもあります。

しばらくドラムを経験して自分にあった機材を使いたいと思うようになってきたら、まずはペダルを買います。
これはできるだけ早く買ってしまったほうがいいでしょう。
スタジオやライブハウスごとに違うペダルを使うのではなく、
自分専用の使い慣れたペダルというものは非常に使いやすいものです。

まずはドラムそのものよりも
スティックやペダルなどの自分の手足となる道具をそろえて、自分のフォームを作ってしまうのです。
ドラムのイスを先に買ってしまう人もいます。

次に買うべきものはスネアです。
スネアはほかの太鼓よりもたたく頻度が高く、音に特徴が出てきます。
ですから、まずスネアを買って自分の音に特徴を出していくのです。
ライブハウスによっては、スネアだけ貸し出してくれないこともあります。
ほかのパートが自分専用の楽器をもっているのと同じように、スネアは自分専用のものを使うということなのでしょう。
ライブをするためには、ペダルとスネアが必要になるのです。

次に買い足すのはチャイナシンバルやスプラッシュシンバルや小さいタムなどで、
スタジオやライブハウスにないものを付け加えていくことでアレンジの幅が広がっていきます。


キーボードは、フロント(前方)で弾く場合もありますが、
立ち位置を変えることができないので、あまり目立たないパートかもしれません。
ステージではほかのメンバーが自由に動き回っているのに
キーボードは立ち位置が固定されているので物足りなさを感じることもあるかもしれません。
音色を変えるなどして、SE(サウンドエフェクト)的な効果も生み出したりすることで、
ほかのメンバーのサポートにまわることが多くなります。


Step 4 メンバーからの注文


さぁ、バンドが動き出しました。

最初はメンバーひとりひとりが自分の演奏をするのに一生懸命でしたが、
バラバラに演奏しているのでは意味がありません。
音がまとまってこそバンドなのです。

全員ドラムに合わせて演奏します。
ここでドラムにメンバーからの注文が・・・

曲のテンポを最初から最後まで一定に」・・・これがいちばん最初の注文です。

ドラムを叩いている途中で疲れてきてテンポが遅くなってしまってはダメなのです。
1曲を通して最初から最後までずっと同じテンポで叩き続けられるようになることが必要です。
ライブともなれば、曲と曲の間にほんの少し休憩できるものの何曲も演奏しなければなりません。
ライブの後半では疲れてしまってテンポが遅れていくのではダメなのです。
体力も必要ですね。

これができてから、ほかのメンバーもドラムに合わせるように注文を受けます。
基準となるドラムのテンポがずれていてはダメなのです。


ライブをやるようになってヴォーカルに注文が・・・

ステージングをもっとよく」・・・これは全員に対しての注文なのですが、特にヴォーカルは言われます。

ライブでお客さんにもっとも注目をうけるのはヴォーカルです。
棒立ちで歌っていたのでは話になりません。
自然に体を動かしたりするのは当然として、場合によっては派手な振り付けなどをしてみるのもいいかもしれません。
ヴォーカルほどは言われないと思いますが、ほかのメンバーも棒立ちではライブがつまらないものになってしまいます。


オリジナルの曲をやりたくなりました。
ここで注文!

作曲してくれ」・・・

これも全員に対しての注文なのですが、ギターやキーボードに作曲してもらうことが多いようです。
これはコードの知識を一番持っているのがギターとキーボードであることが多いからという理由からではないでしょうか。
また、一般的にギターとキーボードは作曲をするというイメージもあるようです。

作曲の注文があるのと同じように作詞の注文もあります。

作詞してくれ」・・・

これはヴォーカルに対しての注文です。
作曲者が作詞も担当するということもありますが、
実際にその歌詞を歌うのがヴォーカルなので作詞をヴォーカルに任せることも多くなります。


次にギターとベースに注文です。

エコノミーをするな」・・・

地球に優しいエコノミー、でも音のエコノミーは聴く人にとって優しくない。

弦楽器ではダウンピッキング(上から下に向かって弦を弾く)とアップピッキング(下から上に向かって弦を弾く)があり、
それを交互にすることをオルタネートピッキングといいます。

しかし、ただ単に交互に弾けばいいのではなく
ダウンピッキングをすべきところととアップピッキングをすべきところが決まっているのです。
それを無視して自分の楽なように弾くことをエコノミーピッキングといいます。

エコノミーをするとリズムがずれたりバンドでアクセントをつけたい部分がずれてしまいます。
これは本来なら最初に注文をつけたいところですが、
ライブハウスに出ているバンドを見ていると約半数のバンドマンはエコノミーをしています。
かなり売れているバンドマンでも正しいオルタネートピッキングができていない人は大勢いるのです。


それぞれのメンバーに注文がいきましたね?

注文の多い少ないの違いがありますが、ここまでの内容ではそれほど差のないものだと思います。
しかしプロを目指しているのであれば、それ以上の注文があります。
そしてその注文はヴォーカルに集中してきます。

ヴォーカルに注文!「禁酒・禁煙・禁エアコン」・・・

ヴォーカルが使用する楽器は世界でただひとつの自分の声です。
そのため私生活でのどに悪い行動を規制されたりして気苦労が大きくなるかもしれません。
のどをいためないようにタバコを吸わない、お酒を控える、エアコンを控えるなどの
他のパートの人がしなくてもよい我慢をしなければならないことがあるのです。
「ヴォーカルは歌詞を覚えるだけなので楽だ」という考え方はなくなりましたよね?

ヴォーカルに注文!「健康管理しろ」・・・

前項でも言ったとおり、ヴォーカルが使用する楽器は世界でただひとつの自分の声です。
ほかのパートだったら風邪をひいても無理に演奏すればいいことです。
実際に風邪をひいたくらいでライブを中止することはできません。
点滴をうってでもライブをするのが当たり前なのです。

ですがヴォーカルが風邪をひいてしまうと声が出なくなったり使えなくなったりするのでライブができなくなってしまいます。
ヴォーカルは風邪をひいてはいけないのです。
ですから私生活の健康管理がほかのパートとは比べものにならないくらい重要なのです。

ヴォーカルに注文!「基礎を徹底してくれ」・・・

ヴォーカルのトレーニングというものは楽器の練習と違い、
「何ができるようになった」と自分で判断することが大変難しいものです。
独学でヴォーカルを練習した場合、実際に練習になっているのか、それともただ歌っているだけなのかの判断が難しいのです。
自分では練習しているつもりでも実際はただ歌っているだけで、練習になっていないため上手くならないということもあるのです。

また、発声方法などを間違えて練習したりするとのどを壊してしまうこともあります。
ですから最低限の基礎はしっかりと習うべきです。
ヴォーカルの基礎トレーニングにはヴォイス・トレーニングとヴォーカル・トレーニングがあります。

ヴォイス・トレーニングとは、息を声に変えるトレーニングです。
まず最初に腹式呼吸を覚えます。
これを正しい方法で身につけずにただ大声を出してしまうと、のどに大きな負担となります。
腹式呼吸を覚えたうえで発声や発音などを訓練していきます。
これは疲れることなく誰よりも大きな声をハッキリと出すようにする練習です。

ヴォーカル・トレーニングとは声を歌に変えるトレーニングです。
まずは音程やリズムを正しくとるための訓練です。
たとえ自分の声やまわりの演奏が聞こえなくても、正確に音程やリズムをとらなければなりません。
そしてその声に「うれしさ」、「悲しさ」、「冷たさ」、強弱などの表情をつけていきます。

ヴォイス・トレーニング、ヴォーカル・トレーニングは
1回のレッスン(30分〜1時間程度)で料金が5千円〜1万5千円くらいかかります。(2004年2月現在の調査)
これを毎月数回なので負担は相当なものです。
「ヴォーカルは一番お金がかからない」という考え方はなくなりましたよね?
しっかり習って基礎をマスターしたならば習うことを辞めても大丈夫です。


Step 5 数年後の壁、将来まで考えると


それぞれのパートでは、数年後の将来、どのような壁があるのでしょうか?

ヴォーカルはたとえ曲が作れなくても作詞をやらせてもらえる機会もあるでしょう。
そのため印税収入のチャンスも生まれてきます。

プロになっても音楽だけでは生活していくことができない人がいるという話を聞いたことはありませんか?

これはもらえるお金がメンバーによって違うから発生している現象です。
作曲者と作詞者にだけ著作印税が入ってくるのです。
著作印税は作曲や作詞をしなかったメンバーには1円も入ってきません。

メンバーそれぞれが作曲をして何十曲もできたとします。
ですが、その全曲が売り出されるのではありません。
アルバム1枚を作るのに30〜50曲を作曲するのが一般的です。
その中から10曲程度を選び、残りの曲は日の目を見ることはありません。

それぞれのメンバーはバンドの仲間であるのと同時に、バンド内では曲作りのライバルでもあるのです。
極端な言いかたをすると、あなたは曲作りでほかのメンバーと競い合い、自分の曲が多く採用されるほど印税が多いのです。
そのときにヴォーカルは作詞をする機会が多く与えられるのはいいですよね?

ヴォーカルはバンドの顔なので、バンドが売れるも売れないもヴォーカル次第だという考え方があります。

このため、ほかのメンバーの採用には特に年齢制限をつけていないレコード会社でも、
ヴォーカルにだけ年齢制限を設けているレコード会社があるのです。
一般的にレコード会社のヴォーカルの採用は26才までといわれています。(2004年2月現在の調査)
実際に同じくらい売れそうなバンドがあったならば、若い方が将来の可能性があるのでそちらを採用するのです。

年齢制限を過ぎてしまったら絶対にダメというわけではありません。
年齢の低い新人にはできない特別なものがあればいいのです。
ですがその場合は採用基準がかなり厳しくなることでしょう。

ヴォーカルが年齢制限に達してしまったとき、
ほかのパートのメンバーならば新しいヴォーカルを迎えてもう一度挑戦することもできるのですが、
あなたがヴォーカルであった場合はこれができません。
ヴォーカルだけアーティスト生命が短いのです。


ギターはレコーディングをするときに壁にぶつかります。
1曲に対してひとつのアレンジをすればいいライブとは違って同時に鳴らす音を何個も重ねていくのです。

同時に鳴らす音といってもコードではありません。
たとえばAメロでそれに合うようなフレーズを何個も録音していくのです。
Aメロにあわせてコードを弾く、Aメロのコードを音色だけ変えて弾く、Aメロにあわせてアルペジオを弾く、
Aメロにあわせて効果音のようなものを入れるなど、同じ場所にいくつものアイデアが必要になるのです。

慣れてくるといろいろなアイデアが浮かぶようになるのですが、
レコーディングを繰り返すうちに、このアイデアは前の曲でも使ったなどのネタ切れ状態になってくるのです。
いろいろな曲を聴いてあなたのバンドで応用できそうなネタを仕入れておくことを繰り返していれば
この壁は乗り越えられそうです。


ベースはアレンジで壁にぶつかります。
ギターのアレンジの壁(ネタ切れの壁)とは違い、ベースは一般的に音を重ねていきません。
2つ以上の音を同時に鳴らすダブルストップという奏法もあるのですがこれは置いておきます。

ベースは通常4本の弦で出すことができる少ない音の中から1つの音だけを選ばなければなりません。
ですからこの限られた音の中であなたの個性のあるアレンジをして表現しなければならないのです。
それは細かいアレンジであったり音を揺らすなどの奏法であったりもします。
個性のない誰にでも弾くことができるようなベースは契約のときに大きな障害になるでしょう。
ギターのアレンジの壁とは本質的に違っていて個性を出すための壁ともいえるでしょう。


ドラムの壁は契約です。
今まではどこのバンドにも引っ張りだこだったのが、今度は逆になってしまうのです。
ほかのパートは個性を表現しやすいのに対してドラムで個性を出すことは非常に難しいです。
また、ほとんどのバンドではドラムはいちばん目立たない位置にいるのです。

実際の話、契約してドラムに毎月の給料を払うよりも
ライブやレコーディングごとにプロのスタジオミュージシャンを雇った方が格段に安くてリスクが少ないのです。
ドラムだけプロのミュージシャンに叩いてもらうのとあなたがバンドでドラムを叩くのをくらべてみたとき、
あなたが叩いたほうがバンドに相当大きなメリットが生まれるというのでなければ契約できないのです。
実際に僕の知り合いのバンドで、今まで一緒にバンドをやってきたドラムを残して契約をしたという話が非常に多いのです。


キーボードの壁はよくわかりません。
僕の周りに大規模に活躍しているキーボードがいなかったのです。
もしもキーボードの方と知り合うことになったら紹介しますね。


最初の一歩を踏み出そう
パート選びのウラ事情
楽器・機材の知識