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Vol.1 ライブハウス出演の手続き


まだライブの経験がない人は、どのようにしてライブに出演したらよいのか、とまどってしまうものです。
また、ライブの経験はあっても、通常おこなわれているのライブは、貸切でのライブとは異なります。

早くライブの日程を決めたいと思っているかもしれませんが、
ライブハウスに連絡をとる前に、まず用意しなければならないものがあります。
また、ライブでのあいさつや作法など、知っておいたほうがよいことがたくさんあります。

ここで誰でも簡単にわかるように説明していきますので、ライブの準備だと思って覚えてしまいましょう。

また、出演したいライブハウスには、あらかじめ下見に行くことをおすすめします。


ライブハウスに連絡を取る前に、まず用意しなければならないものが2つあります。
それは、メンバー全員の写真と、音源・デモ(デモテープ)です。
場合によっては、写真や音源がいらないこともありますが、ほとんどの場合これらが両方とも必要になります。


まずは、写真についてです。

メンバー個人個人の写真を人数分用意してもいいのですが、できるだけ集合写真の方が好まれます。
写真は写真スタジオで撮ったり、カメラマンに依頼して撮る必要はありません。
友達に頼んで、インスタントカメラで撮ったようなものでも大丈夫です。
プリクラを撮って持っていくというのは、試してみたことはないのですが、たぶんダメでしょう。
(試してみたという方、ぜひメールください)

ライブハウスでは、この写真を見ることによって、バンドがどのようなスタイルで活動をしていくのかを参考にしていきます。
ですから、日常に撮った写真よりも、ライブで着ようと思っている衣装などで写真を撮ったほうがいいでしょう。


次に音源・デモ(デモテープ)についてです。

音源はあなた達が弾いているものであれば大丈夫です。
オリジナルの曲でライブをしたい場合には、自分達のオリジナル曲を録音します。
わざわざレコーディングしなくても、スタジオの練習中に録ったもので充分です。

録音する曲数は、2曲くらいが妥当でしょう。
1曲だけではイメージが伝わらないかもしれません。
また、曲を多く入れすぎても、全曲は聴いてもらえません。

ライブハウスでは、この音源を聴くことによって、バンドがどのような音楽性を持っているのかを参考にします。
また、演奏のレベルも参考にされます。
まだ組んで間もないバンドで、ライブができる演奏レベルに達していないと判断されれば、出演を見送らされることもあります。

また、そのライブハウスのイメージに合わないバンドも同じように、出演を見送らされることがあります。
コピーバンドは不可、ジャンルによっては不可といったライブハウスもあります。


では、ライブハウス出演の申し込みをしてみましょう。

ライブハウスに出演の申し込みをするのには、
「出演させていただきたいのですが」と、電話で連絡をとるのが一般的なようです。

そのときに、用意するもの(必要なもの)を言われ、それらを持って直接ライブハウスに来るように指示されます。
電話のときに、あなたがライブハウスにいく日時の約束を決めてしまうこともあります。

ライブハウスに電話をかけるときは、時間帯に注意しましょう。
電話をかける時間が早すぎると、ライブハウスのスタッフがいないので電話はつながりません。

電話をするのを省き、直接ライブハウスに出演の交渉をしに行っても問題はなさそうです。
その場合、写真と音源を忘れずに持っていきましょう。
しかし、ライブハウスによっては、受付と事務所の場所が違う場合があるので、連絡を取ってから行くほうが確実でしょう。


もしも、あなたのバンドが他のライブハウスで活動をしていて、
これから出演しようと思っているライブハウスにも、あなた達のバンドの音楽スタイルが知られているような場合では、
写真や音源、またはオーディションが省かれることがあります。

遠方へのツアーなどでは省略される事が多いですが、実績が問われます。

または、あなたのバンドの中に、以前そのライブハウスでレギュラー出演していたことがあるメンバーがいる場合なども
同じように写真や音源、オーディションが省かれることがあります。


ライブハウスへ行くときはメンバーの一人だけが行っても問題ありません。
ただし、書類などを書かなければならないので、ある程度のメンバー情報はメモしてから行きましょう。

ライブハウスに行ったら、
まず受付のスタッフに「出演させていただきたいのですが」、「先日、出演依頼の件で連絡した○○ですが」などのように言って
担当の人に取りついでもらいます。

写真と音源を持ってきているか聞かれると思うので、持ってきていることを確認して返事をしてください。
その後、出演申込書・メンバー構成表といった書類に記入することになります。

書類に書く内容はライブハウスによって違いますが、どこでも共通な項目としては以下のようなものがあります。

・バンド名
・結成年月
・代表者の氏名・住所・連絡先
・メンバー全員の氏名・住所・連絡先・パート

代表者の氏名は必ず本名で書かなければなりませんが、
メンバー個々の名前はステージネーム・芸名などでも通用しそうです。

それ以外で記入する内容には
「バンドの音楽性(どのようなバンドなのか)」や「普段練習に使っているスタジオはどこか」などのような、
アンケート内容もあったりします。

そのあと具体的にライブの日にちなどを決めたりするのですが、なかなかすぐにというわけにはいきません。
場合によっては1週間後のライブに空きがあって、そこに出ないかかというようにいわれることもありますが、
1〜2ヶ月先にライブというくらいが一般的だと思われます。


Vol.2 オーディションライブ


ライブハウスへ出演の申し込みをしたからといって、
必ずしも、いつもあなたが目にするようなライブをやらせてくれるわけではありません。
ほとんどのライブハウスでは、オーディションライブというものを行っています。

日程などが指定され、通常のライブと同様に、チケットノルマがあります。
チケットノルマとはバンド側で売らなければならないチケットのことです。


オーディションライブの方法は、ライブハウスによっても違います。

多くのライブハウスでは、オーディションライブの日が決められていて、オーディションを受けるバンドが同じ日に集められます。
ですから、その日に出演するバンドは全てオーディションということになります。
あなたのバンドだけのライブではなく、複数のオーディションバンドが集まった対バン形式のライブがおこなわれます。
そして、そのオーディションに合格したバンドだけが、通常のライブに出演できるようになります。

このオーディションライブの形式をおこなっているライブハウスの場合、通常のライブとオーディションライブの違いは
対バン(同一日に一緒にライブをするバンド)だけです。

通常であれば、対バンはジャンルの近い人達になります。
このほうがライブ全体が盛り上がり、それぞれのバンドにお客さんが付きやすくなります。

しかしオーディションライブの場合、ジャンルはばらばらで、
会場にいるお客さんもどこかのバンドのメンバーの友達であったりして、新しいお客さんは付きにくい状態です。


また、別のオーディションライブの方法をとっているライブハウスもあります。

オーディションでライブをするときから、通常と同じようにジャンルの近いバンド同士の対バン形式ですが、
チケットノルマの枚数に差をつけるという方法です。
オーディションの場合ノルマは30枚で、合格すると次からはノルマ20枚などといった例もあります。
この場合、はじめてのライブなのにいきなり有名なバンドと対バンになることもあります。

もしもオーディションに落ちてしまったとしても、そのライブハウスに出演できなくなるわけではありません。
もう一度、オーディションを受ければいいだけのことです。

しかし、前回と同じ内容では、また落ちてしまうでしょう。
2回目のオーディションに向けて、もっと練習を積みましょう。
ライブハウスのスタッフからもいろいろとアドバイスしてもらえるはずです。


Vol.3 ライブチケットの取り扱い


ライブ当日にむけての準備をしていきましょう。

まず、手売りチケットの用意です。
ライブハウスのほうで印刷するので、けっして自分たちで作ってはいけません。

貸し切りライブなどでは、バンドでオリジナルのチケットを作ることもありますが、
その場合にもライブハウスの許可が必要です。


ライブの日にちが近くなってきたら、
チケットが出来ているかどうか(チケットの印刷が終わっているかどうか)を、ライブハウスに電話して確認してください。
「○○(バンド名)ですが○月○日のチケットできていますか」と聞くだけです。

もしもチケットができていたら、チケットを受け取りに行かなければなりません。
直接ライブハウスに取りに行くのが普通ですが、場合によっては郵送してもらうこともあります。
ライブハウスが家から遠ければ、郵送してもらえるように頼んでみるといいでしょう。

電話のときにチケットは当日受け取りますといってしまうこともできるのですが、
これはある程度、固定のファン(常連のファン)がついてからです。

お客さんが少ないうちから当日にチケットを受け取りますといってしまうと、
「自分たちでお金を払ってライブをして、お客さんは呼んでくれないのかなぁ」と思われてしまうかもしれません。

基本的には、電話をして直接受け取りに行くことをオススメします。
チケットを取りに行ったとき、「ちょっと見させてもらっていいですか?」などのように言って
タダでライブを見させてもらえる場合もあります。

電話をしたときに、チケットを受け取りに行く日にちと時間を言っておくとチケットを準備しておいてもらえます。
言っておかないと、結構待たされることもあります。


次に、受け取ったチケットを手売りします。
ファンに売るのは当然ですが、友達に売ってもいいでしょう。

ライブハウスにはチケットノルマというものが決められています。

ノルマとは、ライブの当日までにバンドが手売りをしなければならないチケットで、
20枚から30枚くらいのライブハウスが多いようです。
大きなライブハウスになってくると40枚や50枚の場合もあります。

また、ライブハウスによっては「1500円で20枚、または、1000円で30枚」などのように、
合計金額が同じならば主催者が決めてよいという場合もあります。

このノルマの枚数より売れたチケットの枚数が少なかった場合は、
あなたのバンドで自腹を切ってチケット代を支払わなければなりません。
ですから、ノルマ以上のチケットが売れるようになるまでは、お金を払ってライブに出させてもらうということになります。
ノルマ以上のお客さんが来なかったら次からは出演できないということはないので安心してください。


チケットは友人や知人などに売ってもいいですし、値引きして売っても、ただであげてもかまいません。
しかし、ライブハウスに支払う金額は一定で決まってますので、
値引きをした分の代金や、ただであげた分の代金についてはバンドの負担になります。
また、チケットをなくしてしまった場合の代金もバンドの負担になります。

できるだけ値引きはしないほうがいいのですが、
どうしてもの場合、値引きするのは、かなり仲の良い友達だけにしておいた方がいいでしょう。

一度値引きをして売ってしまうと、次回からも値引きが当然のようになってきて、
通常の金額では買ってくれなくなってしまう場合もあります。


ライブの前の日までに売ることができなかったチケットは、当日にライブハウスの前などで売ったりします。

後に説明しますが、当日にチケットを売るときは値引きをしてはいけません。
値引きをしてチケットを売りたい友達がいるならば、前日までに売っておくか、
チケットだけを先に渡しておいて、料金はライブ後に受け取るようにします。


当日の場合ライブハウスの前などで売るのですが、通りすがりの人が買ってくれるなんてことはまずありません。
チケットを持たずにライブハウスに来たお客さんが対象になります。
ですから、おもに売る時間帯はお客さんがライブハウスに来る時間帯、つまりOPEN時間あたりになります。

また、遅れてくるお客さんもいるので、あなたのバンドの本番の直前までは外でチケットを売ります。
直前まで売るとはいってもライブ直前はかなりいそがしくなるので、できないかもしれません。
スタッフがいれば、チケットの販売はスタッフにまかせるといいでしょう。


もしチケットが売れ残っていたとしてもライブ当日は割り引きしてチケットを売ってはいけません

たとえ友達であったとしても割り引きはしてはいけません。

あなたたちが割り引きをしてチケットを売っていることがほかのバンドを見にきたお客さんに知れると、
自分たちが見にきたバンドからはチケットを買わずに、あなたのバンドからチケットを買うことがあります。

つまりチケット代の安いバンドから買うという現象が起きてしまいます。

近所のスーパーでも価格競争してるし安いほうが売れるのがあたりまえだから
別にいいじゃないかって思うかもしれませんが、これはダメです。

これには2通りの理由があります。

ひとつめの理由は、
ほかのバンドを見にきたお客さんが、安く売っていたあなたのバンドのチケットを買ってしまった場合、
そのバンドにとっては対バン形式(複数のバンドが一緒にライブをやる形式)でなければ売れていたはずのチケットが
対バン形式のために売れなくなってしまうのです。

つまりは損害を与えてしまっているのです。

いくら価格競争が自由だとはいっても
全く同じ物を目の前で安売りしてしまったら妨害しているようなものですよね。

チケットの売れた枚数というのはライブハウスのバンドに対する評価にもなります。
同じ金額でチケットを売らなければ公平ではないのです。
ですから見にきたバンドからチケットを買ってもらうということは重要ですよね。

ふたつめの理由はバンドの価値を下げられてしまうことです。
たとえば5つのバンドが出演するライブで2000円のチケットがあったとしましょう。
計算してみると1バンドあたり400円の計算ですよね?
これを安売りして1000円で売っていたとしたら1バンドあたり200円の価値しかないということになります。
安売りをしてしまうと、ほかのバンドのライブの価格を勝手に下げてしまったということになるのです。

これらの理由により当日はチケットを安売りしてはいけないというのは
バンド界の暗黙のルールになっています。

当日にチケットの割り引き販売をしたことでバンド同士がトラブルになることがよくありますので
当日にチケットの割り引きはやめましょう。

これとは逆にチケットを買ってくれたら○○をプレゼントというように特典をつける場合は大丈夫です。


次はチケット予約についてです。

チケットの予約・前売りは、あらかじめチケットを渡して料金を受け取っておくのではなく
電話やメールなどで予約の名前だけ入れておくという方法がよく使われています。

代金引換郵便などで送るのが一番いいのですが、郵送にはお金がかかってしまいます。
銀行振込などでチケット代を払ってもらうにしても、振り込み手数料がよぶんにかかってしまいます。
ですので、ほとんどの場合は予約してくれたお客さんの名前だけ聞いておいて、
ライブ当日にそのお客さんが来たらチケットを売るのです。

これでは当日ライブハウスに来て買えばいいじゃないかと思うかもしれません。

しかし、予約をしなかった場合、
せっかくライブハウスに来てもチケットが売り切れてしまって会場に入れないということもあります。
メンバーやバンドのスタッフがライブハウスの外でチケットを売っていることに期待して予約をしなかった場合、
メンバーやスタッフがライブの準備でいそがしくてチケットを売ることができないかもしれません。

手売りチケットを買うことができなかったお客さんは、ライブハウスの窓口でチケットを買います。
しかし、ほとんどのライブハウスでは、
バンドのメンバーが売っている手売りチケット(前売り)よりも、当日券が割高に設定されています。
ですから、予約というのは必要なのです。


では、チケット予約者のリストを作りましょう。
といっても、チケット予約者を紙に書き並べておくだけです。

ライブが始まるまで余ったチケットを売るなどしながら、ライブハウスの前でチケットの予約者が来るのを待ちます。
チケットを予約したお客さんが会場に来たら、料金と引き換えにチケットを渡します。


予約者リストはライブハウスのスタッフに渡してしまうこともあります。

メンバーやバンドのスタッフがどうしてもいそがしくて外に出られないとき、
ライブハウスの受け付けをしているスタッフに「■■バンド名■■の予約者ですのでお願いします」と言って、
予約者リストと、リストに書かれている人数分のチケットを渡しておくのです。
そうすれば、お客さんが窓口に来て「■■バンド名■■で予約してます」と言って、自分の名前を言ってくれれば、
窓口でチケットを受け取ることができるようになります。

この場合、ライブハウスによってですが
チケットと引き換えにチケットの代金をお客さんから回収してくれるところと、
チケット代を回収してくれずにチケットをお客さんに渡すだけというところがあります。

チケットを渡すだけでチケット代を回収してくれないライブハウスの場合には、
ライブの終了後などにそのお客さんのところへ料金を回収しに行かなければなりません。

チケットの料金の回収を忘れてしまったり、お客さんが先に帰ってしまったような場合には
そのお客さんはタダでライブを見れたことになり、そのチケット代はあなたのバンドが支払うことになってしまいます。

窓口のスタッフに予約者リストを渡すときには、
予約者にチケットを売って代金を徴収してもらえるのか、それともチケットを渡してくれるだけなのか、
確認をとっておいたほうがいいでしょう。


ライブ前に余ったチケットの回収をしてしまうライブハウスもあります。

この場合、予約者の分のチケットだけ手元に残しておいて残りを返却する場合と、
チケットをすべて返却して予約者リストを渡しておく場合があります。

これはどちらの方法を選んでも問題ないと思います。


Vol.4 チケットノルマ以外にかかるお金


チケットノルマ以外で、ライブにかかるお金は・・・?

宣伝に使うチラシやアンケートのコピー代、
ビデオを撮影してもらうならば、その撮影代などがかかります。

では、絶対に必要なお金は・・・?


アンプなど、自分の機材を持っていない場合は、機材のレンタル代がかかります。

絶対に必要なお金は、チケットノルマぶんの代金と、機材のレンタル代だけで、
それ以外にはお金はかかりません。

もちろん自分のアンプやドラムセットなどを持っていて、
機材車などで持ってくる場合には、機材のレンタル代もかかりません。


僕はここ数年間、必ず自分の機材を持ち込んでいたので最近の相場はわかりませんが、
当時の機材のレンタル代はアンプなど1台につき6000円くらいでした。
楽器の相場がそれほど低くなっているわけではないので、
レンタル代の相場もあまり変わっていないのではないでしょうか。

では、仮にアンプやドラムセットなど1台のレンタル代を6000円として計算してみましょう。

アンプやドラムセットを借りたらレンタル代を6000円払わなければならないというわけではありません。
これらは使いまわしをするのです。

同じアンプやドラムセットをほかのバンドの人も使うのですから、
6000円を使う人の人数で割ります。


たとえば5バンドが出演する場合を考えてみましょう。

レンタル代が6000円のベースアンプを5つのバンドで使いまわしをすれば
6000÷5で、1人1200円のレンタル代ということになります。

もしも出演する5つのバンドのうち、2つのバンドが機材車でベースアンプを持ち込んでいたら
使いまわしをする人数は残った3人ということになります。
6000÷3で、1人2000円のレンタル代になります。

同じようにギターアンプやドラムセットも使う人の人数で割り勘になります。


ここで、ギターアンプについて考えてみましょう。
ギターの場合、マーシャルを使いたい人、JC(ローランド・ジャズコーラス)を使いたい人など、
使いたいアンプが人それぞれ違うのではないでしょうか?

こういった場合、アンプをレンタルするギタリストの人数で6000円を割り勘にするのではなく、
それぞれのアンプごと、そのアンプを使う人の人数で割り勘になります。

つまり、使うアンプによってレンタル代が変わってくるのです。
ほかのバンドが全員マーシャルを使って、JCを使いたいのが自分だけという場合、
1人で6000円のレンタル代がかかってしまいます。


これらアンプやドラムセットのレンタル代は、
個人個人ではなく、レンタル代の合計がバンドでいくらになったのか計算され、
最後の精算のときにまとめて請求されます。


いちばん安くて済むのは、機材を持っているバンドと仲良くなることです。
ライブハウスから機材を借りずに、他のバンドから借りればタダなのですから(笑)

初対面で「機材を貸してください」は失礼になってしまいますが、
何度か一緒にライブをして仲良くなれば、機材を借りることも可能でしょう。


ライブハウスやイベントによっては、機材のレンタル代がかからないこともあります。
たぶん、ノルマの料金に含まれているということでしょう。

また、ライブハウスでは、どのバンドが機材を持っているなどの情報がある程度わかっていることも多いので、
レンタル代がどれくらいになりそうか、事前に予想してもらうことも可能かもしれません。


Vol.5 ライブのキャンセル


ライブのキャンセルは基本的にしてはいけません

自分達が望まなくても、ライブの予定は告知されます。
雑誌に載ったり、ライブハウスの情報などのチラシが配られたり、月間ライブ情報などがインターネットで配信されたりします。
また、チケットにはあなた達のバンドの名前が載っていることでしょう。
それらを見て、どんなバンドだろうと期待している人もいるかもしれません。

ですから、自分勝手な都合などでのキャンセルはしてはいけません。

僕が今まで見てきた中でキャンセルがおこなわれたのは2回だけです。
メンバーが急に脱退して活動できなくなったためのキャンセルと、
阪神淡路大震災でこれなくなってしまったバンドがキャンセルをしたくらいです。
体調不良くらいで簡単にキャンセルしていたら信用を失ってしまいます。

「病院で注射を打ってもらってでも出演する」というのはバンドマンにとっては当たり前のことなのです。
僕もライブ前日の深夜に夜間病院を探して注射を打ってもらい、ライブに出演したことがあります。

学生の場合、学校のテストの予定が入ってしまってもライブのキャンセルはすべきではありません。
先にライブの予定を組んだ以上、ライブを優先させるべきです。
そして僕は留年しました(・o・;)


やむをえない理由などでキャンセルする場合、できるだけ早くライブハウスに連絡するようにしましょう。

キャンセルの場合、キャンセル料金がかかります。
ノルマ分の料金全額がキャンセル料になる場合が多いようです。

また、キャンセルをした場合、
それまでに手売りした分のチケットはバンドの責任で回収し、そのチケットをライブハウスに返却しなければなりません。


Vol.6 ライブハウス入りと機材の搬入


まずは、ライブハウスへの集合からです。

OPEN時間(お客さんがライブハウスに入ることができる時間)と
START時間(最初のバンドが演奏をはじめる時間)はチケットに書いてあるのでわかるのですが、
何時に集合すればいいのかということはチケットには書いてありません。

これは、前日などにあなたたちの方からライブハウスに電話をして聞かなければなりません。
「■■(バンド名)■■ですが、○月○日の入り(いり)時間を教えてください」などのように電話をします。

厳密に言うと、入り時間というのはライブハウスのスタッフが出勤して店を開ける時間ですので、集合時間ではありません。
集合時間というものは決められていないのです。
入り時間を目安にライブハウスに集合するのです。

入り時間以外にも、もし当日の出演バンドの順番が決まっていれば出順(何番目に出演するか)を聞く事が出来ます。
「出順(でじゅん)はわかりますか」などのように聞いてみるといいでしょう。
イベントなどの場合では、出順は当日発表といった場合もあります。

ここまではライブの前日までにしておくことです。
では、ライブハウスに向かいましょう。


入り時間より前に集合してもライブハウスに入る事はできません。
ライブハウスのスタッフが入り時間に遅刻してきて、ライブハウスに入れないということもたまにあります。

そして、入り時間に店が開いても、リハーサルより前にライブハウスのスタッフがいろいろな準備があるので、
リハーサルが始まるまでにはさらに1時間程かかります。

しかし、あなたもあまりのんびりしてもいられません。
なぜなら、リハーサルの前に機材をホールに運び入れてリハーサルのための準備しておかなければならないからです。
楽器だけもってきているバンドの場合はまったく時間がかからないのですが、
機材車などを使ってアンプやドラムセットを持ってきているバンドは機材を運び入れるのに、かなり時間がかかります。
入り時間の30分後位までに機材をホールに運び入れることができるように、集合時間を設定すればいいでしょう。

たとえば、2時入りだから2時15分にライブハウス集合などとメンバー間で時間を決めたりします。
最初のうちは入り時間にライブハウスに着いていたほうが印象がいいかもしれません。
もしも事情があって大幅に遅れる場合はライブハウスに連絡をしましょう。

最初のころはライブハウスに集合しないで、早めにどこかほかの場所でメンバーと集合してから、
みんなでライブハウスに行くのがいいかもしれませんね。


入り時間があまり関係ない場合もあります。

たとえば、リハーサルの順番がわかっている場合は、その時間に合わせて入りをする(ライブハウスに来る)こともあります。
でもこれはライブハウスとの間で信頼関係が成り立っていないとできません。
「時間になっても来ないけど本当にライブをやるんだろうか?」と、ライブハウスの人が不安になってしまうかもしれません。


ライブハウスに着いたら、まず「おはようございます」のあいさつです。

たとえ夕方や夜であったとしても
「こんにちは」や「こんばんは」を使わずに「おはようございます」を使います。

これは、音楽関係の仕事をしている人達は、昼過ぎに起きる生活をしている場合が多いためです。
(ライブハウスのスタッフであったら、入りの時間に間に合うように起きたりします)
相手の起きる時間帯がわからない以上、常に「おはようございます」なのです。

夕方からや深夜のアルバイトをした経験のある人は「おはようございます」に慣れているかもしれませんね。
音楽関係に限らず「おはようございます」を使っている職種は多いようです。

起きる時間の話とは別に
「おはようございます」には、「こんにちは」や「こんばんは」との違いがあります。

「おはようございます」だけが敬語なのです。

「こんにちは」は敬語ではないですよね?
「こんばんは」は敬語ではないですよね?

3つの中で敬語を使っているのは「おはようございます」だけなのです。

相手によっては、ほかの2つのあいさつは失礼だと感じる人もいます。
ですから、かならず「おはようございます」を使うのです。


ライブハウスの外であっても、ライブに出演しそうな人などを見つけたらあいさつをするようにしましょう。
また自分達が先にライブハウス入りした場合でも、あとから対バンの人達が入ってきたときは忘れずにあいさつしましょう。

実際にバンド同士のトラブルでいちばん多いのは「あいさつ」が原因のトラブルです。

「あいさつをしなかった」
「あいさつしたのに無視された」

これで多くのバンドがトラブルを起こし、バンド界から消えていきました。
メンバーではなくスタッフがあいさつをしなかったとしても同じようにトラブルになりますので、
スタッフがいる場合、あいさつを忘れずにさせてくださいね。


では、ライブハウスに機材を運び入れましょう。

機材などを運び入れることを搬入(はんにゅう)といいます。
これに対して、機材などを外に運び出すことを搬出(はんしゅつ)といいます。

機材車で来ているバンドは機材車をライブハウスの前にとめます。
そして持ってきている機材を機材車から降ろしてライブハウスの中まで運びます。
楽器と手荷物だけもってきている場合は、そのままライブハウスに入っていくだけです。

機材の搬入のときは、機材搬入口から入っていっても、正面の入り口から入っていってもかまいません。

機材はステージにはのせずに、ホール(客席)にバンドで1箇所にまとめておきましょう。
ほかのバンドの機材と混ざって、どれがあなたのバンドの機材か分からなくなってしまうこともあるのです。
そして、リハーサルのときに、機材をステージにのせることになります。


機材の管理には注意しましょう。
ごくたまにですが、機材の盗難の話を聞くこともあります。
スタッフがいる場合、機材の管理をスタッフにまかせるといいでしょう。

機材車で来た場合は、機材の搬入がおわったら機材車を移動させて、
ほかのバンドが機材の搬入をしやすいようにしてあげましょう。


Vol.7 バックステージパス


バックステージパス(略してパス)とは、
ライブが始まってからも自由にライブハウスに出入りすることができる証明書のようなものです。

これらは、シールになっていたり、ピンでとめるタイプのものであったり、
首にかけるものであったりライブハウスによって違いますが、
必ず身に付けてなければなりません。

もちろんライブ本番の時にははずしておくのですが、
ステージ衣装の上からパスをつけていて、はずすのを忘れて、パスをつけたままステージに上がってしまう人もいます。
ちょっとかっこ悪いかもしれないので、パスをつけるのと同様にはずすことも大事ですね。

ライブハウスによっては、ライブ終了時にバックステージパスを返却しなければならないというところもあり、
もしもパスを紛失してしまった場合は罰金などがかかります。
シール形式のバックステージパスで日付の入ったものは、返却の必要がない場合が多いようです。


バックステージパスにはメンバーパスとスタッフパスがあります。
メンバーパスは、出演の書類にメンバー構成を記入してあれば、他に何も書かなくても配布されます。

一方、スタッフパス(バンドを手伝うスタッフに出すバックステージパス)は、
バックステージパス発行の申請の書類などに、パスを必要とする人の氏名を記入しなければならない場合が多いようです。
スタッフパスの発行枚数には限度があり通常2〜3人までといったところでしょうが、ライブハウスによって違います。


スタッフパスとは区別して、ゲストパスというものが存在します。
ゲストパスの場合も、枚数に限りがあるようです。

ゲストとは、ライブにゲスト出演する人などではなく、メンバーが無料でライブに招待する友人などを指します。
ゲストのことを一般的に「関係者」という事が多いようです。

「ゲスト」=「関係者」なのですが、バンドの関係者であって、ライブの関係者とは違います。
ですから、ライブハウスに書かれている「関係者以外立ち入り禁止」などの場所には入ることができない場合も多いようです。
つまり、ゲストパスでは会場と外の出入りは自由に出来ますが、
楽屋などの「関係者以外立ち入り禁止」という場所には入る事は出来ません。
とはいっても、楽屋などに出入り可能なライブハウスも多数存在します。

また、ライブハウスによっては、ゲストは会場の出入りは自由であっても、
最初の入場時に別料金のドリンク代がかかることがあります。


バックステージパス発行の申請は、出演の書類にパスを必要とする人の名前を書くだけです。

ほかに出演の書類にはバンド名、メンバー構成(名前とパート)などのようなものを書きます。
バンドの名前は正確に記入してください。
メンバーの名前は本名でなくステージネームでも大丈夫でしょう。
それ以外に、ライブのチケットが手売りで何枚売れたかなどのチケットの売れ行き状況を書く場合もあります。


Vol.8 PA表と照明表


ライブハウスのスタッフのほうから渡される書類は、出演の書類のほかにPA表と照明表があります。
ライブハウスによっては一部省略されますが、通常は3枚になります。

PA(ピーエー)は音のバランスなどを操作するもので、PA表は音響に関する注文書だと思ってください。
照明表は照明に関する注文書だと思ってください。

これらには、あなたのバンドのライブの流れを書いていきます。
もちろん演奏する曲を順番どおり書いていくのですが、そのほかにも書かなければならないものがあります。

ライブの一番最初や途中でCDやMDなどを流してもらいたいこともあるでしょう。
実際の演奏ではなく流してもらう音をサウンドエフェクトといい、省略してSE(エスイー)といいます。
SEを入れる場合、PA表や照明表にもSEと書きます。

また、ライブの途中でトークをすることもあります。
これをMC(エムシー)といい、PA表や照明表にもMCと書きます。

これらのようなものを含めて、曲、SE、MCをどのようにならべてライブの流れを作っていくのかを記入するのです。
つまり、あなたのバンドのステージのタイムテーブルを書いていくわけです。

<PA表> <照明表>
■■バンド名■■ ■■バンド名■■
  〜 SE 〜   〜 SE 〜
■■曲名■■ ■■曲名■■
■■曲名■■ ■■曲名■■
■■曲名■■ ■■曲名■■
  〜 MC 〜   〜 MC 〜
■■曲名■■ ■■曲名■■
■■曲名■■ ■■曲名■■

こんな感じになります。
ここまではPA表も照明表もまったく同じ内容です。


次に音響や照明に対して注文などがないかメンバーに聞いて書き込んでいきます。
これは、曲ごとに、または部分ごとに注文をつけることもできます。

具体的にはPA表には
この曲だけベースの音を大きくして欲しい、
この曲ではギターがコーラスもやるのでマイクの音が出るようにしてください・・・
こういった音に関する要望や説明を書いていきます。

照明表には、この曲は赤色中心の照明で演出して欲しい、ストロボ効果(チカチカする照明)を入れて欲しいなど、
照明に関する要望を書いていきます。

PA表と照明表は非常に似ていることが多く、書き間違えることも多いので注意しましょう。

<PA表>
■■バンド名■■
  〜 SE 〜
■■曲名■■
■■曲名■■ ギターがコーラスをとります
■■曲名■■ この曲だけベースが指弾きです
  〜 MC 〜
■■曲名■■ アコギを使います
■■曲名■■ ドラムの音を大きめでお願いします

<照明表>
■■バンド名■■
  〜 SE 〜 暗くしておいてください
■■曲名■■ イントロだけストロボ効果を入れてください
■■曲名■■
■■曲名■■
  〜 MC 〜 ヴォーカルにスポットライトをあててください
■■曲名■■ 青色中心でお願いします
■■曲名■■

これらの書類を書いたらライブハウスのスタッフに提出します。

ライブ中にSEを入れる場合にはSEに使うMDやCDなどを一緒に渡します。
ここで注意が必要なのですが、ライブハウスのスタッフがどのSEがどのバンドのものかわからなくなってしまうことがあります。
ですから渡すCDやMDにラベルなどをつけて「バンド名、SE、○曲目」などのように書いておきます。


これらのほかにセッティング表もありますが、これはライブハウスのスタッフにいくつか質問されるだけで、
ライブハウスのスタッフのほうで書いてくれます。

具体的な内容はステージ上のメンバーの立ち位置、コーラスマイクを立てる位置、
使用するギターアンプやベースアンプの名前、ライブハウスで準備されているどのアンプを借りるか、またはアンプ持ち込みか、
ドラムセットのバスドラの数、タムの数、フロアータムの数などです。


Vol.9 ライン録りとビデオ撮り


「ライン録り」という言葉を聞いたことはありますか?

ライブ当日の演奏を録音するのです。
ライン録りをしたい場合にはライブハウスのスタッフに頼むことができます。

これはスピーカーから出てくる音を録音するのではなく、スピーカーから出力される前の音を録音してくれます。
ですからMDレコーダーなどを持ち込んで録音した場合とはかなり音が違ってきます。
これをライン録りといいます。
それに対してスピーカーから出された音を録音することを「空中録り(くうちゅうどり)」といいます。

ライブハウスがやってくれるのはライン録りです。
空のテープ・MDなどを渡せは無料でライン録りしてくれます。
僕の知る限りでは存在しませんが、もしかしたら有料のライブハウスもあるかもしれません。

ライン録りをしてもらうときは空のテープ・MDなどにバンド名が書かれたラベルなどをつけておいて
ライブハウスのスタッフに渡します。

バンド名が書いてなければ
ライブハウスのスタッフがどのテープ・MDがどのバンドのものかわからなくなってしまうことがあります。
ですから渡すテープ・MDには必ずバンド名を書いておくのです。


ライブハウスではビデオ録画もしてくれます。
一般的に空のビデオテープは自分たちで準備してライブハウスのスタッフに渡さなければなりません。

ビデオ録画は「オペレーターつき」か「固定」を選ぶことができると思います。

「オペレーターつき」というのはライブハウスのスタッフがカメラを構えて録画してくれます。
ステージ全体を撮ったりヴォーカルだけを撮ったりいろいろなことをしてくれます。
ズームで撮ったりなどもしてくれるのでプロモーションビデオを作ろうなどといったときに役立ちます。

それに対して「固定」というのはオペレーターがつきませんのでライブ中ずっとステージ全体を撮ったものになります。
こちらはメンバーが立ち位置の工夫をしたりステージングの確認などに役立ちます。

ビデオ録画は有料です。
オペレーターつきの方が料金は高くなります。
オペレーターつきで4000円くらい、固定で2000円くらいが相場ではないでしょうか。
空のビデオテープ代もセットで料金に含まれるライブハウスもあります。
この場合にはビデオテープ代の分だけ料金が高くなります。

ビデオ録画の場合でも渡すテープには必ずバンド名を書いておきます。

これらのテープ・MD・ビデオテープなどは
「ライン録りお願いします」、「ビデオ録りお願いします」といって書類を出すときに一緒に渡せばいいでしょう。


Vol.10 宣伝ツールを用意しよう


ライブハウスに入るお客さんはどんな人なのでしょうか?

あなたの友達かもしれません。
あなたのバンドが何度かライブをやっていてファンなのかもしれません。
対バンのメンバーの友達やファンかもしれません。

そういったお客さんたちに「ライブを見てよかったら次のライブもまた来てください」という宣伝がしたいですよね?

宣伝をしなかったら今回のライブ限りのお客さんになってしまいます。
宣伝にはチラシを用意します。

また、今回のライブの感想も聞きたいですよね?
感想を聞くためにはアンケート用紙を用意します。

これらはライブハウスのスタッフに渡せば折り込んでくれます。
「折り込む」という言葉を使うとむずかしく考えてしまうかもしれませんが、
ほかのバンドのチラシとセットの束にしてライブハウスに入店したお客さんに渡してくれるという意味です。


これらの印刷物は印刷業者に依頼して大量に作っておくバンドもあれば、
ライブ当日にコンビニへ行ってコピーをするバンドもあります。

どういった方法がいいのかは、ライブ活動の規模にもよります。


ライブの回数が1ヶ月に1回くらいであったらコピーする方法がお手ごろです。

たとえばB5サイズ(ノートの大きさ)のチラシを2枚、同じものを準備してコピー機にならべて置きます。
この方法をすれば1回のコピーで2枚分のチラシができますね。

そしてコピーが終わったあとにカッターやハサミなどで切ればいいのです。
料金的に得ですよね( ^▽^)

ただしコピー機の置かれているコンビニによっては大きなサイズのコピー代が倍の料金になってしまうところもあります。
この場合は得ではなくなってしまうのですが。


同じように並べてコピーする方法で、チラシとアンケートを並べて1枚の大きい紙にコピーするという方法を使っているバンドもいます。
ですが、結局は切り離さなければならないので労力は同じです。
これは面倒くさがらずに切り離しましょう。

もしもチラシとアンケートを切り離さないでおいたとしましょう。
お客さんには、左側がチラシで右側がアンケート(もちろん逆もあります)の大きい紙が渡されることになります。

この場合、アンケートを回収できる枚数がかなり少なくなってしまいます。

その理由のひとつは切り離すのが面倒くさいからです。
これが理由で、対バンのお客さんはほとんどアンケートを書いてくれません。

対バンのお客さんが切り離さずにアンケートを出してくれることもあります。
切り離さずにアンケートを回収したら・・・
チラシが渡せなかったことになってしまいますね。

あなたのバンドのファンだったら面倒くさくても書いて出してくれるのではないかと思うかもしれません。
たしかに面倒くさくて書いてくれないというお客さんは少なくなります。

しかし、大きな紙を半分に切るのに失敗して、切れ目が汚くなってしまうかもしれません。
ファンの中には、チラシをきれいに保存しておきたいという人もいます。
そのため、アンケートを書いてもらえないこともあるのです。

ですから、チラシとアンケートは必ず切り離しておいたほうがいいでしょう。

たとえ切ってあっても、切れ目が汚いものをもらったお客さんは残念に思ってしまいますので、
あなたが半分に切るときもきれいに切るようにしましょう。


印刷業者に依頼して大量印刷してもらうのは1000枚くらいチラシやアンケートを作るときです。
ある程度の枚数になれば、コピーよりも安くなります。

しかし、チラシで宣伝しているライブ日程が過ぎたら、そのチラシは意味のないものになってしまいます。
先のライブの日程がいくつも決まっているときに、それらをすべてまとめてチラシに載せてしまい、
同じチラシを長い間使うという方法がいいでしょう。

アンケートは日付さえ入れなければスケジュールがつまっていなくても長く使えるものですから、
印刷業者にお願いしてしまうのもいいかもしれません。


チラシはファンや常連のお客さんを増やしたい場合にはかならず用意しておいたほうがいいでしょう。
もし、チラシを作らなかったらどうなるか考えてみましょう。

ライブに来てくれるお客さんは、あなたやバンドのメンバーや友達が口コミで宣伝した人達だけになってしまいます。

もしもあなたのライブをはじめて見たお客さんがいて、あなたのバンドのことを気に入ってくれたとしましょう。
チラシがなかったとしたら、その人は次のライブに来てくれるでしょうか?

可能性は低いです。

チラシがなくても、お客さんが次のライブの予定を覚えていてくれればいいと思うかもしれませんが、
そのお客さんはほかのバンドを見に来て、あなたのバンドを偶然見たのかもしれないのです。

もともと自分の見に来たバンドのライブを見たり、ライブ後に友達と話したりしていれば、
あなたのバンドがかっこよかったという印象は残っていても次のライブの日程などは忘れてしまうものです。

チラシがあれば、ライブを見て気に入ってくれたお客さんは、
そのチラシを見てバンドの名前や次のライブの日程を確認できるのでライブに足を運びやすくなります。

また、そのお客さんが学校などで友達にチラシを見せることによって、
次のライブには友達を連れてきてくれるかもしれません。


チラシで忘れてはならないのが写真です。
お客さんがあなたのバンドやメンバーの誰かを気に入ってくれたら、
写真がなければ、どのチラシのバンドかわからなくなってしまいます。

バンド名だけのチラシの場合を考えてみましょう。

ライブ中にバンド名を言うのはMC(トーク)で1回だけという場合がほとんどです。
ですから、よほど有名なバンドでない限り、ほとんどのお客さんはバンド名を覚えてくれません。
そんなときに、バンド名だけのチラシがあったとしても、どんな人たちだったかわからなくなってしまいます。

チラシにはお客さんにバンド名と顔を一致させてもらえるために、写真はかならず欲しいところでしょう。


アンケートにはあなたのバンドのライブの感想を書いてもらいます。

お客さんが書いてくれる内容は、応援メッセージなどのいい内容と、○○が良くなかったなどの悪い内容があります。
いい内容を書いてもらえたら、あなたやバンドのメンバーにとって励ましとなるでしょう。
たとえ悪い内容を書かれたとしても腹を立てたりしないようにしましょう。
悪い内容は客観的な意見です。
その部分を直していったらいいバンドになりますよという意味でとらえましょう。

感想以外には名前と住所やメールアドレスなどを書いてもらったりします。
これを書いてもらえれば、○月○日にライブをやりますなどのように宣伝することができるようになります。

メールで宣伝することが多いと思いますが、お客さんの中にはアドレスを頻繁にかえる人もいます。
住所は書いてもらっておきたいところです。
住所がわかっていればメールが送れなくてもDM(ダイレクトメール)を送ることができます。
普段はライブのお知らせメールなどを送って、たまにDMを送る方法が、いちばん良さそうです。


よく、電話番号の記入欄のあるアンケートを見かけるのですが、これはあまりおすすめできません。

電話で営業をかけるとライブに来てもらいやすくなるのですが、
お客さんの数が増えてくると全員に電話をすることがむずかしくなってきます。

最初のころは電話をかけてきてもらっていたけれど、
バンドが売れてきたら電話じゃなくメールだけになってしまったという理由で
ライブに来なくなってしまうお客さんもけっこういたりするのです。

もし電話で営業をかける場合は、時間帯などのマナーに注意しましょう。


アンケートはチラシとセットであることに意味があります。

アンケートだけを渡されても、写真ののっているチラシでバンド名を確認しないと、
はじめてライブを見たお客さんはどこのバンドのアンケートなのかわからなくなってしまいます。

アンケートを折り込んでもらうときには、かならずチラシとセットにしましょう。


では、チラシやアンケートは何枚くらい用意すればいいのでしょうか?

これはお客さんの人数次第になります。
あなたのバンドのお客さんにも対バンのお客さんにも配布されますので、
すべてのバンドをあわせて、その日のライブで何人くらいのお客さんが入りそうかを予想します。

用意したの枚数が少なければチラシやアンケートをもらえないお客さんがでてきてしまいますし、
多すぎても無駄になってしまいます。

ライブハウスの大きさや対バンなどを見て判断するのですが、たいてい50〜200枚くらいでしょうか。

もし判断がつかなければライブハウスのスタッフに相談してみるといいでしょう。

それぞれのバンドが前売りで何枚くらい売れているなどのリサーチをしていたり、
ほかのバンドがふだんのライブで何人くらいお客さんが入っているかという情報を持っているので、
ある程度の予想はしてくれると思いますよ。


折り込みのチラシとアンケートはまとめてライブハウスのスタッフに渡します。

全部のバンドのチラシを1枚ずつとって束にしていく作業は時間がかかるので、
OPENの数時間前までに持ってきてくださいなど、かなり締め切りが早いです。

それを遅れると折り込んでもらえなくなってしまうので、
かなり早いうちからチラシの準備をしておいたほうがいいでしょう。
そして、できるだけ早く提出しましょう。

ほとんどの場合、リハーサルより前にチラシを渡してしまいます。


Vol.11 ライブハウスでの物販


ライブのときに、CDやデモテープなどを売ることもあります。
CDやデモテープなど、物を売ることを物販(ぶっぱん)と言います。

ライブハウスの中で物販をしたいときには、ライブハウスの許可が必要です。
まずはライブハウスのスタッフに物販の許可をもらいましょう。
ライブハウスによって物販を許可してくれるところ、
物販が禁止されているところがありますので、かならず確認してください。

ライブハウスの方で許可してもらうと、ライブハウス内で物販をすることができます。

ほとんどの場合、入り口付近やホールの中に物販席を作ってもらえます。
テーブルを出してもらえたりして、物販専用のコーナーを作ってくれるのです。
これによって、ライブハウスの中でCDやデモテープなどを売ることができるようになります。

物販席でメンバーがCDなどを売っていることもありますが、
ほとんどの場合、スタッフが1人待機してグッズなどを売ります。

ライブ中にも売ることができますが、
物販席がホール内にある場合、実際にお客さんが買ってくれるのは演奏中ではなく、バンドとバンドの転換中がほとんどでしょう。

主に売るものといったらCD、デモテープや写真ですね。
他にもステッカー、Tシャツ、タオルなどを売っているバンドもいます。
チケット販売だけを目的に物販席を作ってもらうということはできない場合が多いようです。


物販にはルールがあります。
物販席で売れた金額の10%をライブハウスに支払ってくださいなど、
ライブハウスごとにルールが違いますので、確認してみてください。

ライブハウス側で売れた金額をチェックしているということはまずありませんが、
今後もライブハウスとよい関係を築いていくためには正しく申告しなければなりません。
目先の小さな利益よりも、信頼関係によって後々もたらされる大きな利益を考えるべきでしょう。

CDなどと一緒に物販席でチケットを売ることもありますが、
次回のライブのチケットくらいなら売り上げ料金にカウントしないように交渉できるのではないでしょうか?


Vol.12 リハーサル


リハ(リハーサル)の順番は、必ずしも出演バンド順というわけではありません。
リハの順序には何パターンかの方法がとられています。


ライブに出演する順番とは逆の順序でリハーサルを行う方法を、逆リハ(ぎゃくリハ)といいます。

たとえば5バンド出演するとしましょう。
出演する順に<1><2><3><4><5>とすれば、リハの順番は<5><4><3><2><1>のようになります。

この方法であれば、ライブの時、転換(前のバンドの演奏が終わってから次のバンドの演奏が始まるまで)の
時間を短くすることができるというメリットがあります。

この理由は機材にあります。
逆リハの場合、リハーサルが終わった段階でラックシステムなどの機材はステージ上に残していきます。

まず<5>のバンドがリハーサルをします。
リハが終われば、ラックなどの機材をステージ上に残していきます。

次に<4>のバンドが、その上に機材を積み重ね、リハーサルをします。
リハが終われば、また、ラックなどの機材をステージ上に残していきます。

これが<3><2><1>と、順番に続き、機材も順に積み重ねていくことになります。

すべてのバンドのリハーサルが終わったとき、機材はどのように積み重ねられているのか見てみましょう。
<5><4><3><2><1>の順番で積んだのですから、上から見ると<1><2><3><4><5>の順番になっています。

では実際にライブが始まれば・・・

いちばん上に積まれている機材は<1>のもの、つまり、最初に出演するバンドのものです。
機材がステージ上にあり、もう接続されていますので、すぐにでも演奏をはじめることができるでしょう。

そして、このバンドがライブを終えたときには、他の機材を動かさずに自分の機材だけを下ろせばいいのです。

残った機材は上から<2><3><4><5>の順番になります。

次に2番目のバンドが出演し、ライブが終われば、積まれている機材の一番上から自分の機材だけを下ろします。
これを繰り返すことで転換の時間を短縮することができます。

この方法を使わないならば、あなたのバンドの出順のときに機材を積み上げて、
時間をかけて電源やケーブルなどの接続をして、演奏が終わったら機材を片付けることになります。

逆リハでは、機材を積み上げる時間だけでなく、機材の接続をする時間もかなり短縮されますので
転換がすばやくできるようになるのです。

ライブを手際よく進行させるためのリハーサルが逆リハということです。


ライブをおこなう順番どおりにリハーサルを行うこともあります。
この方法を順リハ(じゅんリハ)といいます。

実際にライブに出演する順番どおり、<1><2><3><4><5>の順番でリハーサルをします。
この方法であれば、だいたいのライブの流れを見ることができるというメリットがあります。

もうひとつのメリットは本番待ちの時間を調整できることでしょうか。

逆リハの場合、一番最初にリハーサルをしたバンドは出順が一番最後のバンドです。
本番までにかなり長い時間待たなければならないことに気づくでしょう。

短くても5〜6時間くらい待たなければならず、
早い時間からはじまるイベントなどでは、8〜10時間近く待たなければならないこともあります。
これを回避できるのが順リハというわけです。
集合時間についても、リハーサルの時間を知らされて、リハに間に合うように来てくださいなどということもできます。


順リハを少しだけ変えた方法もあります。
最初に出演するバンドだけ、一番最後にリハーサルをすることにして、それ以外を順リハでおこなう方法です。
<2><3><4><5><1>の順番になります。
これは順リハのメリットを生かしつつも、最初のバンドのスタートをスムーズにもっていきたいというときに使われます。


こういったパターンに当てはまらないものもあります。

ライブの日に遅れてくるバンドは多いものです。
そこで、ライブハウスに入りをした順にリハーサルをすることがあります。
手の空いたバンドから順番にリハーサルをすることもあります。


ライブハウスのスタッフに
「■■バンド名■■さん、セッティングお願いします」、「リハーサルお願いします」などといわれたら
リハーサルの順番がまわってきたことです。

ライブハウスのスタッフに「よろしくお願いします」と一声かえしてから、
セッティング(準備、楽器の接続など)にとりかかりましょう。

リハーサルでは、曲をいきなり演奏するのではなく、まずは、それぞれのパートの音量などを1人ずつチェックしていきます。


最初はドラムの音のチェックからはじまります。

「ドラムさん準備できましたか」と聞かれますので、セッティングが大丈夫だったら音のチェックのはじまりです。
まずは「よろしくお願いします」と言いましょう。


まずはバスドラだけ音のチェックです。
「バスドラお願いします」と言われたら、バスドラだけたたきます。
たたく間隔は1秒に1回くらいずつで、OKが出るまでずっと連続してたたきます。

同じようにスネア、ハイハット、フロアータム、低いタム、高いタムの順に、ひとつずつチェックしていきます。

りきんでたたいたり、無理に強くたたいたりしないで、ふだん叩いているのと同じような強さでたたきましょう。

ふだんと叩く強さが変わってしまうと、
ふつうに曲を叩いたときの強さと、今チェックした強さが違ってしまうので、
また修正が必要になってしまいます。

「タムをまわしてください」と言われることもあります。
高いほうのタムから、低いタム、フロアータムの順にたたいていきます。
それぞれ1発ずつたたいたり、2発ずつたたいたり、4発ずつたたいたりとパターンを変えるなどして、
先ほどと同じように1回でやめてしまわずにOKが出るまでくりかえします。

「三点セットでください」と言われることもあります。
このときはバスドラとスネアとハイハットだけで基本的なリズムをたたきます。

最後はドラム全体でチェックです。
「全体でください」といわれたら、三点セットでのリズムに、シンバルやタムなどを使ったフィルを入れて自由に叩けばよいでしょう。
全体のチェックが終わったら、もう一度「お願いします」のあいさつで終了です。


次はベースのチェックです。

「ベースさんお願いします」と言われたら、「よろしくお願いします」と返しましょう。

セッティングのときに気づくと思うのですが、ベースは直接アンプに接続しないでDIという機械を通します。
これはベースの音をアンプで増幅させる前にPA卓(ミキサー)に信号を送ってしまうためのものです。
DIからPA側に送られる信号は、ちょうどPA側の入力に最適なレベルの信号に変えて送られます。

アンプを通す前の信号をPA卓に送ってしまうのですから、
ライブハウスのステージモニターやメインのスピーカーから出る音とアンプから出る音は違ってきます。
エフェクターをかけた音をスピーカーから出したいときには、エフェクターはDIよりも前に接続しておきます。

もしあなたのバンドのベーシストが自分のアンプをもっていて、アンプの使い方をよく知っているのであれば、
アンプのイコライザーを通したあとの音をDIに送ることもできます。
(もちろんそれに対応したアンプでなければならないのですが)

DIについてはライブハウスのスタッフが接続をしてくれたりするので心配しなくても大丈夫ですよ。


まずは主に使う音色でチェックです。

あなたのバンドの曲のフレーズでも、好きなアーティストの曲のフレーズでも何でもかまいません。
ただ単にルート弾きでもいいのです。

ですが、音程変化がないと音のチェックがしづらいこともあるので、
「ドレミファソラシド、ドレミファソラシド」などのように、くり返して弾いたりするのもいいかもしれません。
(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ♭・ドになってしまわないように注意)


OKが出たら、次は違う音色の音をチェックします。

ライブでエフェクターを使って違う音色を使うことがある場合には
「違う音色いきます」や「音色変えます」と言って、さっきと違う音もチェックしてもらいます。

しかし、ライブで使うすべての音色をチェックするわけではありません。
エフェクターを軽くかけただけで、ほとんど音量が変わらない音色についてはチェックを省略します。

全部の音色のチェックをしていたら時間がかかりすぎて、ライブをする時間がなくなってしまいます。
ふだんのベースの音と、歪みのエフェクターをかけたベースの音の、2種類くらいチェックしてもらうのが妥当ではないでしょうか。


音色を変えたときにあまりにも音量が違いすぎる場合は、エフェクターのアウトレベルを変えるように言われることもあります。
アウトレベルを変えるように言われたら、その場ですぐにエフェクターの調整をしなければなりません。

コンパクトエフェクターなど単体のエフェクターなら大丈夫かもしれませんが、
マルチエフェクターだと、ここで時間がかかってしまうこともあります。
事前にスタジオでの練習のときから、音色を変えた場合にでも音量の差がなくなるように調節をしておくことが大切です。

また、リハーサルでエフェクターの調整を求められたときにすぐ対応できるように、
エフェクターの使い方(最低限、音量の変え方)をよく知っておくことも大切です。


音色が同じであってもピック弾きと指弾きでは音量に違いが出てきます。

ふだんはピックで弾いていて、指弾きの曲もあるというような場合、これもチェックしてもらいましょう。
「指弾きの曲があるのでお願いします」などのように言ってチェックしてもらいます。

音色や弾きかたを変えてひととおりのチェックが終わったら、
「音色は以上です。お願いします」のあいさつをして終了です。


ドラムの音のチェック、ベースの音のチェックに続いて、次はギターのチェックです。

ギターが2人いる場合は、ステージ下手のギターからでも上手のギターからでもどちらでもかまいません。
上手(かみて)とは、客席からステージを見たときの右側、下手(しもて)は、左側のことです。

PAさん(音のバランスを操作するライブハウスのスタッフ)から
どちらのギターの音のチェックを先にするかという指示がある場合もあります。

PAさんからどちらのギターの音のチェックを先にするか指定がなければ、
「上手ギターお願いします」や「下手ギターお願いします」などのように言ってチェックをはじめてもらいます。

言うのと同時に手を上げれば、PAにとってもよりわかりやすいでしょう。


ギターではふつうDIを使いません。
ギターアンプから出力された音をマイクで拾ってPA卓に送ります。

ギターの音のチェックの進め方はベースの場合とほとんど同じです。

ギターの場合、たとえ同じ音色でも、単音で弾くのとコードで弾くのとでは音量が違ってきますので、
あまりに音量の差が大きい場合には、単音とコードの2つに分けて音量のチェックをしてもらうほうがいいかもしれません。

最初は単音でチェックしてもらって、OKが出たら、「同じ音をコードで弾きます」などのように言って
和音でチェックしてもらってもいいでしょう。

最後にあいさつをして終了です。


次はヴォーカルの番です。
「ヴォーカルさん声をお願いします」と言われたら、「お願いします」と返してチェックをはじめます。

声のチェックとは、発声のチェックです。
初心者に多いのはマイクに向かって「あー」ということです。
「あー」はふだんの声の音量でしかなく、歌うときの音量とあきらかに違ってくるので、ほとんど参考にはなりません。


一般的には3つの方法があります。

ひとつめの方法は「ヘイ」や「ヘーイ」、「ハァッ」や「ハァー」と発声することです。

この方法では自然にお腹から声が出ます。
これが歌うときの音量に近いので、マイクのチェックではよく使われます。
まずは恥ずかしがらずにこの方法をためしてみましょう。

ふたつめの方法は「チッ」と発声することです。

この発声では、声の中の倍音(高音成分)を多くふくませることができます。

歌っている途中の歌詞や言葉などによって、倍音が多くふくまれる音があります。
倍音が多いと、電気的に強い信号になって音が割れてしまったり、聴く人にとっては耳障りな音になったりすることもあります。

声のチェックの段階で、倍音成分が多く含まれた音を出しておけば、
PAさんのほうで、いろいろな処理をしておいてもらえそうですよね。

これら2つの方法をまぜあわせたものがあります。

「チェック・ワン・ツー」と発声する方法です。
音量も歌うときの音量に近く、倍音(高音成分)を多く含んだ言葉もあるので、バランスよく声のチェックをしてもらうことができます。

声のチェックのときの発声のしかたで、ライブ経験などがわかってしまいます。
「あー」と発声している人は、ほとんどの場合ライブの経験が浅い人です。

たまに「本日は晴天なり」とか変なギャグを言っている人は意外と大物かもしれません。(マイクのテストにはなりませんが)

ヴォーカルもほかの楽器と同じようにOKがでるまでずっと繰り返して発声します。
OKがでたら最後にあいさつをして終了です。


ヴォーカルのチェックに続いて、コーラスのチェックをします。
それぞれのコーラスマイクに向かって、そのマイクを使用するメンバーが同じように発声していきます。


最後にキーボードのチェックです。
これは場合によってはヴォーカルのチェックの前にやってしまうこともあります。

接続にはベースと同じようにDIを通します。
これはライブハウスのスタッフがやってくれるので大丈夫です。

ベースやギターと同じように順番に音色を変えてチェックしていきます。
キーボードでも、音色を変えたときに音量の差が大きく出てしまわないように、あらかじめ調節をしておきましょう。

ほかのメンバーと同じようにあいさつを忘れないようにしましょう。


このように、ひとりずつ順番にチェックをしていきます。

これは基本的な順番というだけで、実際に順番が入れかわったりもします。
ドラムのセッティングに時間がかかり、先にベースのチェックからというようなこともよくあります。

時間がなくて個人個人の音のチェックを省いてしまうこともあります。


個人個人の音のチェックをするときの注意点はひとつです。

他のメンバーが音のチェックをしているときに無駄な音は出さないことです。

PAのほうでも、チェックしている音と違う音が鳴っていたら、調整がやりにくくなってしまうことでしょう。

自分のセッティングがまだ済んでいない場合、少しだけ音を鳴らしてみるぶんには仕方ありませんが、
セッティング終了後は一切音を出さないようにしましょう。


一人一人の音のチェックが終わったら、今度は全体のバランスのチェックです。

PAさんから「曲でお願いします」などのように言われたら、全体のバランスをチェックするので曲を弾いてくださいということです。
もちろんライブで演奏する予定の曲がいいでしょう。


まずは1曲演奏します。
ヴォーカルが代表して「○曲目やります」、「○曲目お願いします」などのように言ってから演奏をスタートします。

演奏している間にPA卓のほうではホール側(客席側)の音量のバランスや
返しの音(ステージのモニター)のバランスを決めていきます。


曲を弾いている間にあなたがすべきことは音を聴くことです。
うまく歌ったり弾いたりすることではありません。

「この位置ではギターの音があまり聞こえなくて演奏しにくいなぁ」、
「ヴォーカルの声が聞こえすぎてリズムが合わせにくいなぁ」など、
演奏しながら聴いて考えておくのです。

音量のバランスを聴いて、客席にはバランスのよい音を出すようにし、
ステージには演奏しやすい音を出すようにしていくのがリハーサルなのです。

音量バランス以外にも聴いておきたいものがあります。
それはイコライジングです。

アンプのトーンやイコライザーなどで、
HIGH、MID、LOW(アンプによってはTREBLE、MID、BASS)ってありますよね?

ふつうはこれで出したい音を決めるわけですが、
アンプから出る音と客席のスピーカーやステージモニターから出る音は違います。

特にベースの場合、DIからPAに直接、音の信号を送っているので、音がかなり変わってくることもあります。

ですから、客席のスピーカーやステージモニターから出ている音を聴いて、
それがお客さんに聴かせたい音なのかを考えておくのです。


曲の演奏が終わったあと、PAさんに「○○してほしい」などの要望をつたえます。


たとえば・・・

もっと自分の弾いた音が自分に聞こえるようにして欲しい場合
→「自分の音の返しを大きくしてください」

ステージの上手側のモニターのハイハットの音を大きくして欲しい場合
→「上手にハット上げてください」

下手のモニターからヴォーカルの音を消して欲しい場合
→「下手のヴォーカル切ってください」

イコライザーでベースの高音を上げて欲しい場合
→「ベースのハイを上げてください」

このような感じで注文をしていきます。


客席の音に対しても要望があったら伝えます。

もちろん客席の音はステージにいてもわかりません。
演奏中にワイヤレスやシールドをのばして客席におりていき、客席で音のバランスを聴いてみるのです。

しかし、リハーサルの1曲目から、いきなり客席におりていって音を聴いても
PA側のほうでまだバランスをとっていないので、ほとんど意味がありません。
客席の音を聴いてみるのは、早くて1曲目の後半、普通は2曲目以降からおこないます。

客席の音についての要望を伝えるときは
「ベースの外音(そとおと)をもっと上げてください」、
「ホール(客席)のドラムの音を上げてください」などといいます。

大きいライブハウスなどでは、
ホール用のPAとステージモニター用のPAの2つに分かれている場合もあります。

ひととおり要望をつたえたら、次の曲に入ります。


1曲目でおおよその音量バランスができているため、
2曲目以降は1コーラスのみ(1番だけ)などのように部分的に演奏するのがいいでしょう。

1コーラスのみでなく1曲まるまる演奏してもいいのですが、リハーサルというのは時間が限られています。
全曲リハーサルできることはまずありません。


限られたリハーサルの時間を有効に使うには・・・

たとえば2曲演奏してリハーサルが終了したら、曲が終わるごとに要望をつたえることが2回できます。
(1曲)+(1コーラス)+(1コーラス)ならば、使う時間はほとんど同じでも要望を伝えることが3回できます。

2曲でリハーサルが終わってしまうよりも、
(1曲)+(1コーラス)+(1コーラス)の方が注文も細かくできていいと思いますよね?


では、リハーサルの2曲目に入りましょう。

リハーサルの1曲目と同じようにヴォーカルが代表して
「○曲目やります」、「○曲目お願いします」、などのように言ってから演奏をスタートします。
「○曲目のギターソロからいきます」などのように言って、途中から演奏をしてもかまいません。

そして、1コーラスが終わったら演奏をストップさせて、またPAさんに要望をつたえます。


リハーサルが終了したときにはPAさんに、メンバー全員で「本番よろしくお願いします」とあいさつをします。
別に「せーの」で声をそろえて言わなくてもいいですよ。(笑)

本当はライブハウスのスタッフ全員に言うべきなのですが、PAさんに代表してあいさつするだけで大丈夫です。


リハーサルが終わったら、機材を片付ける前に、
アンプやエフェクターなどのヴォリュームやトーンなどの「つまみの位置」をメモしておきましょう。

もしもつまみの位置がリハーサルのときとずれてしまうと、
本番とリハーサルでまったく音が違ってしまったり、
少しのトーンの違いでバンド全体の音量バランスがかわってしまうことがあります。

レンタルするアンプでは当然なのですが、
たとえ自分の機材であったとしても、つまみに無意識に触れて位置が変わってしまうこともあるので
やはり、メモしておきましょう。


機材を片付ける場所ですが、
リハーサルから本番までの間、機材をステージに置きっぱなしにする場合と、
一度ステージから降ろしてしまう場合があります。

これはライブハウスのスタッフの指示に従ってください。
とくにライブハウスのスタッフから指示がなければ、「機材はどうすればいいですか」と聞いてみてください。


Vol.13 楽屋の使い方


ライブハウスにはメンバーがライブの準備をして待機する楽屋(がくや)があります。

テレビの音楽番組などを見てみると、バンドごとに楽屋が分かれていて、
1つのバンドで1部屋使っているのを目にすることもありますが、
ほとんどのライブハウスでは楽屋はひとつだけで、

出演するすべてのバンドが共同で使います。

ライブハウスによっても違いますが、ほとんどのライブハウスの楽屋は狭く作られています。
平均的に見ると、2〜3バンド入って限度くらいのライブハウスが多いでしょう。
なかには畳1枚ぶんくらいの広さしかないライブハウスもあったりします。

リハーサルが終わってから本番までは楽屋で待機するのがふつうだと思われているかもしれませんが、
楽屋に入りきれないメンバーや、楽屋は狭くてイヤだというメンバーは楽屋の外で待機しています。

楽屋の外といっても通路などもないライブハウスでは、
お客さんにまじってホールでほかのバンドのライブを見ていたり、ライブハウスの外に出たりします。

機材車で来ているバンドの場合、機材車の中で待機していることが多くなります。

それ以外にもファミレスでドリンクを飲みながら待っていたり、パチンコやゲームセンターで遊んでいることもあります。
一度家に帰って出演まで寝ているバンドマンもいます。

外で待機する場合には出演予定時間よりもかなり早めに帰ってこなければなりません。
これは、予定の時間がずれて、出演時間が早まることがあるためです。

ですが、ほとんどの場合は予定より遅くなり、
ライブハウスのスタッフに「30分おしです(30分予定が遅れています)」などといわれます。


本番を待っている間にしておかなければならないことがいくつかあります。

すぐに思い浮かぶのがステージ衣装に着替えることです。
それ以外にも髪型などを変えたり、化粧などをしたりもします。

また、まだチケットが売れ残っているのならば外に出て売ることもあるでしょう。


まず、メイクをしたり、髪型を変えてみたり、
衣装をチェックしたりするのには鏡が必要ですよね?

鏡や化粧台はライブハウスの楽屋にもあるのですが、数が限られています。
また、鏡や化粧台は出演者全員が使います。

これらは出演順の早いバンドから順番に使っていくのがマナーです。
準備が終わったら、荷物などをそのままにしないで片付けて、次のバンドに鏡をゆずりましょう。

出演順が早いバンドは、リハーサルより前に着替えや化粧などをすませておかないと
本番に間に合わなくなってしまうこともあります。


ライブ本番の時間になったバンドから順に入れ替わりでステージに上がるのですが、
出演するバンドと楽屋で待機しているバンドとの間でもあいさつが交わされます。

出演時間を迎えたバンドは「いってきます」や「お先です」などのあいさつをし、
楽屋で待っているバンドは「がんばってください」などと言っているのをよく耳にします。

演奏が終わって楽屋に戻ってきたときは「おつかれさまでした」や「お先でした」などのようにあいさつをし、
楽屋で待っていたバンドは「おつかれさまでした」とあいさつをしています。

その後、「お客さんの入りはどうでしたか」(どれくらいお客さんがいましたか)や、
「お客さんのノリはどうでしたか」などと話したりしてコミュニケーションが広がっていくのです。

しかし、中には話しかけられるのが嫌いなバンドマンもいるので、場の空気を読んでということだと思います。


Vol.14 転換/セッティング


楽屋で待機していてライブハウスのスタッフに「○○(バンド名)さん本番お願いします」といわれたら
ステージにあがって機材のセッティングです。

セッティングとは、ライブで演奏をするために、機材などの電源を付けたりチューニングをしたりなどの準備をすることをいいます。

バンドごとのライブの持ち時間は、セッティング込みで40分などのように、準備の時間をいれて○○分と決められていたり、
セッティング別で25分などのように、準備時間を考えずに時間が決まっていることもあります。

もしもセッティングに手間取って、多く時間が掛かってしまった場合、演奏時間を減らさなければならないこともあります。

セッティングとは別に持ち時間が決められている場合でも、セッティングに時間が掛かりすぎた場合は、
演奏時間を減らさなければならないことがあります。

ライブ全体での時間が決まっているので、
たとえばセッティング別で25分(演奏時間が25分)という場合、
「そのかわりセッティング時間は10分以内」というような意味合いになります。

「セッティング込み」と「セッティング別」は表現の仕方が違うだけで、バンドの持ち時間は、結局のところは同じです。
「セッティング別」だからという理由で、ゆっくり準備するというわけにはいきません。


では、セッティングに入りましょう。

セッティングにも注意する点がいくつかあります。

まずはチューニングをすることです。
あなたがもし楽屋でチューニングを済ませてしまっていた場合でも、
ステージの上でもう一度チューニングをすることをオススメします。

これは、楽屋とステージの温度や湿度の差によってチューニングが変わってしまうことがよくあるからです。

その後、アンプをつないで音が出るかどうかを確認します。
それ以外には音は出さないようにしましょう。

本番直前のセッティングで音を出して遊んでいたら結構カッコ悪いものです。
音を出してフレーズの確認もNGですよ。
お客さんが聴いているのですから。


ステージドリンク(ライブ中に飲む水など)は、かならず床に置きます。

アンプやモニターに水がかかると破損してしまったり、音が悪くなってしまうためで、
ちょっと水がかかっただけで数万円の罰金をとられます。

場合によっては出入り禁止になってしまうかもしれません。

口紅をつけている場合はステージドリンクにストローをさすなどして口紅がおちてしまわないように工夫したりします。


ステージモニターが固定されているかどうかも確認します。
この確認はリハーサルのときにしてしまうことも多いです。

固定されていないモニターに足をかけると、倒れてしまったり、ステージから落ちてしまったりすることがあります。


これらのように演奏に向けての準備をしていきます。

時間短縮のために、前にステージに出ていたバンドが片付けをしながら、
同時に次のバンドのセッティングがおこなわれることがほとんどです。

バンドとバンドとが入れ替わることを転換といいます。


ライブハウスによっては、セッティング中、
ステージと客席との間に幕(カーテン)をつけることができます。

幕があれば、セッティングしている姿をお客さんに見られることはありませんが、
幕がないライブハウスでは、セッティング中もお客さんが見ていることになります。

演奏終了後の片付けのときも同じで、幕があれば、片付けをしている姿をお客さんに見られることはありませんが、
幕がないライブハウスでは、片付けているところもお客さんが見ていることになります。

幕があるのと、無いのとでは、お客さんの印象が変わってきます。


幕がある場合は、幕にかくれてセッティングします。
その間ライブハウスには転換中のBGMが流れています。

準備ができたタイミングを見計らって、ライブハウスのスタッフにSEを流してもらうように伝えます。
SEとは、登場のときに流す音楽CDなどで、あらかじめ、PA表や照明表と一緒に渡してあると思います。

SEが流れ出すとヴォリュームが大きくなり、臨場感が増してきます。

そしてまたタイミングを見計らって、ライブハウスのスタッフやバンドのスタッフに幕を開けてもらいます。
幕が開けば、あなたのバンドのライブがスタートです。


では、幕が無いライブハウスの場合は・・・

たとえライブハウスに幕が設置されていなくても、
スタッフが2人いれば、あなたたちのバンドのほうで幕を用意し、
その両端をスタッフに持っていてもらえばいいのです。


バンド側で幕を用意する場合、少し厚めの布を買ってきて縫い合わせます。

ステージ側の照明が明るく、客席側の照明が薄暗いので、薄い布の場合、少し透けてしまいます。
ですから、ある程度、厚めの布がいいでしょう。

また、布1枚では大きさが足りないので、何枚か同じ布を買ってきて縫い合わせて使います。

縫い合わせれば幕の完成です。
バンドのロゴなどをペイントしてもいいのではないでしょうか?

幕を自分たちで作ったのであれば、幕のあるライブハウスと同じようにライブをはじめることができます。


自作の幕には少しだけ問題点があります。

幕は予想以上に重いので、幕を持っているスタッフは力が必要です。
また、スタッフの身長が低い場合は、上から見えてしまうこともあります。


幕が無い場合の別の方法ですが、ローディーがいればセッティングを任せることができます。
メンバーはセッティングのためにステージに上がらずに、ローディーに、すぐに音が出せる状態にしておいてもらうのです。

ですが、活動を始めたばかりのバンドではローディーはいないことでしょう。
そんな時は、バンドをやっている友達に頼むことがオススメです。

あなたのバンドのライブの時には友達にローディーをしてもらい、友達のバンドのライブの時にはあなたが手伝ってあげるのです。
交代でおこなっていけば、両方のバンドにメリットがありますね。


Vol.15 ライブ終了後(精算/アンケートの回収)


ライブが終われば機材を片付けます。

あなたが機材車で来ていたならば、機材は楽屋に置きっぱなしにしないで機材車に積んでしまうのが良いでしょう。
ステージの上に残してきた機材はずべてのバンドの演奏が終了してから片付けます。

最後の片付けのときは、ただ黙々と片付けたりせず、
ライブハウスのスタッフや対バンの人たちに「おつかれさまでした」のあいさつをしながら片付けます。


アンケートを回収したい場合、
「○○(バンド名)アンケート回収しています」や「○○アンケートお願いします」などと言って
ホール(客席)やライブハウスの外を歩いてまわります。
(ほとんどのバンドではスタッフがこれをおこないます)


アンケートの回収には、アンケート回収ボックスがオススメです。

アンケート回収ボックスは専用のものなどを買って用意する必要はなく、
ダンボール箱の上側を切り抜いて作ったものを使用しているバンドがほとんどです。

アンケート回収ボックスは、バンドのメンバーやスタッフに直接手渡しするのではないので、
対バンのお客さんからもアンケートが集まりやすいというメリットがあります。
そのため、「○○が好きです、良かった」というようないいコメントばかりでなく
もっと客観的なコメントをもらうことができるようになります。


アンケート回収ボックスなどにはバンド名を書いておきましょう。
さらに写真などを貼り付けておくと、どこのバンドなのか、もっとわかりやすくなるでしょう。

ただ単にアンケート回収ボックスを目立つところに置いておくのではなく、
アンケート回収ボックスを持ちながら、「○○(バンド名)アンケート回収しています」のかけ声があると効果的です。


ライブハウスの外などで、次回のライブのチケットを売ることもあります。

このときも当日にチケットを売る場合と同じで値引きはしてはいけません。
今日のライブで対バンだったバンドが、また次回も対バンになる可能性もあるのです。


ライブの後にはチケットの精算が残っています。

ライブハウスのスタッフのところに行き、「○○(バンド名)です。精算お願いします」などといいます。
ライブハウス側から精算に呼ばれることもあります。

ブッキングマネージャー(ライブの出演日や出演順を決めるスタッフ)が精算を担当していることが多いようですが、
受付のスタッフやPAさんが精算を担当することもあります。

声をかけたスタッフが精算を担当しているとは限りませんので、そのスタッフの指示にしたがってください。

すべてのバンドが順番に精算をし、同時にミーティングなどをおこなうので、精算はかなり混雑します。
何十分も待たされることはよくあります。


まずは手売りチケットの余りをすべて返却します。
(ライブ前に返却しなければならないライブハウスもあります。)

返却しなかったチケットは、すべて売れたという扱いになります。

チケットを家に忘れてきてしまっても、タダであげたり割り引きして売ったとしても、
ライブハウス側からは定価で売れたという扱いになります。

(ライブハウスから預かったチケットの数)−(返却したチケットの数)が売れた枚数として扱われます。
そして、その料金はバンドが回収しているものと判断されます。


次に売れたチケットのぶんの売り上げ金をライブハウスに渡します。
(売れたり渡したりしたチケットの枚数)×(定価)です。

チケットを友達にタダであげたり、安く売ったからといって、渡す売り上げ金が少なくても良いわけではありません。
タダであげたり割り引きしたぶんのチケットの料金はバンドで補充してから精算してください。

注意しなければならないことは、「チケットは先に渡したけれども料金の回収ができていなくてお金がない」というパターンです。
チケットを渡したら、できるだけ早く料金を回収しましょう。


ライブハウスに返却したぶんのチケットが手売りチケットのノルマ不足分です。

しかし、当日にライブハウスの窓口で、あなたのバンドを見に来たといって買ってくれたお客さんもいるかもしれません。
これは、当日券としてバンドで売れた枚数にカウントしてくれます。


「手売りノルマ不足分」より「売れた当日券の枚数」が少ない場合、ノルマに達しなかったことになります。

足りないぶんのチケット代は、バンドで負担しなければなりません。


「手売りノルマ不足分」より「売れた当日券の枚数」が多い場合、ノルマよりも売れたことになります。

ノルマよりも多くチケットが売れたときにはチャージバックがあります。
チケットの売り上げに応じてお金がもらえるのです。
ノルマより多く売れた枚数ぶんの売り上げに対して50%などのようにライブハウスによって決まっています。
ノルマ以上は100%チャージバックといったイベントなどもあります。


ノルマに達しなかった分のチケット代以外にもお金がかかります。
「機材のレンタル代」と「ビデオ録画代」があり、場合によっては、それ以外に「オプションの料金」があります。

機材のレンタル代は現在の相場では、アンプやドラムセット1台につき1500〜3000円くらいのようで、
平均的に2000円ということが多いようです。
その金額を同じ機材を使ったバンドの数で割るので、それほど高くならないでしょう。
もちろん自分のアンプやドラムセットなど、機材を持ち込んだのであればレンタル代はかかりません。

ビデオ録画代は、ビデオ録画をしなければかかりません。

録画してもらう場合、ビデオテープを持ち込むかどうか、
カメラ固定か、オペレーターにカメラを動かしてもらうかどうかで金額が変わってきます。

オプション料金は、ライブで特殊効果を入れてもらうような場合、その特殊効果を出す機械の使用料がかかります。
おもなものはスモークでしょうか。
煙を出してもらうのに別料金がかかったりします。


これらは、精算のときにノルマの不足金額とあわせてバンドでまとめて支払います。

たとえばベースだけアンプをレンタルした場合、ベーシストがレンタル代を請求されるのではなく、バンドに請求がきます。
もちろんそれをバンド全員で割って負担するか、個人で負担してもらうかはバンドで決めていいでしょう。

個人負担の場合、最初の頃は「ヴォーカルだけレンタル代がかからなくていいな」という感じになりますが、
皆、早く自分のアンプやドラムセットを買おうと前向きになるので、本格的な活動を目指しているバンドにはオススメです。
趣味で楽しく活動しているバンドの場合は、メンバー全員で仲良く割り勘がいいのではないでしょうか?


活動しはじめの頃、意外とやってしまうのが、「お金が足りない」というパターンです。

本来あるべきではないのですが、どうしてもの場合、ライブハウスに借金をお願いしてみてもいいでしょう。
2〜3日くらいだったら待ってくれるというライブハウスも意外と多いです。


ほとんどの場合、精算と一緒にミーティングがおこなわれます。

ライブハウスのブッキングマネージャー(またはPAさん)からライブの感想を聞かれたり、ライブの感想を聞けたりします。
「どんなところをどうしたほうが良い」などのアドバイスなどをしてもらえるので、今後のライブのために参考にするといいでしょう。

また、このときに次回のライブをブッキングしてしまうこともあります。
(ブッキングとはライブの日程などを取り決めることです)

メンバーも全員そろっていて日程が組めるので都合がいいのですが、
それぞれのメンバーが自分の日程を把握していないと意味がありません。

完全にバンド中心の生活をしている人はライブの日程にあわせてバイトの休みをとったりすればいいのですが、
学生の場合にはテストや行事などもあるので日程の調整が必要でしょう。

一度ライブの日程を決めたのであれば、基本的にキャンセルしてはいけません

自分のスケジュールを確認せずにライブのブッキングをしてしまい学校のテストの日と重なってしまったというような場合、
基本的には学校のテストをあきらめて下さい。

テストをあきらめた場合、自分に被害が及ぶだけで済みます。
ライブの日程を変えるのであれば、メンバー、ライブハウス、お客さんなど、非常に多くの人に迷惑がかかってしまいます。
テストに出席できずに留年ということもあるので注意してください。

「本当にそんな人いるの?」って思うかもしれませんが、実は僕もテストの日にライブのブッキングをして留年しました。
学生の方は特に注意してくださいね。

スケジュール管理は重要です。
ライブのときには必ずスケジュール帳などを持ってくるといいかもしれません。


ミーティングが終わったらおつかれさまでしたのあいさつをして終了です。

ライブハウスを出るときにもライブハウスのスタッフ、対バンに、おつかれさまでしたのあいさつを忘れないようにしましょう。


Vol.16 打ち上げ


最近では少なくなってきましたが、ライブの終了後に打ち上げをやるバンドもあります。

打ち上げには様々な種類があります。

・メンバーだけの打ち上げ
・お客さんも含めた打ち上げ
・対バンも含めた関係者だけの打ち上げ
・対バンと合同でお客さんも含めた打ち上げ

終電までで終了ということもありますが、朝までの場合も多いようです。


メンバーだけの打ち上げの場合、ファミレス、マック、居酒屋などで軽くミーティング+宴会をして、終電で帰ることが多いようです。
自販機で飲み物を買ってその場で話して終わりということもあります。

スタッフや友達などを呼んでおこなうこともあります。
ミーティングとはいっても、反省会は最初の10分くらいだけで、あとは雑談になっていたりします。

このあたりは作法も何もないので自由に楽しめればいいかもしれません。
反省はしっかりして、あとは楽しくですね。


メンバー、スタッフ、友達に加えて、
ライブハウスのスタッフやイベントのスタッフなどを呼んで打ち上げをおこなうこともあります。
今日のライブありがとうございましたの感謝の意味を込めて招待するのです。

これがキッカケでライブハウスのスタッフと仲良くなれば、
いろいろ役に立つ情報をもらえたり、次回のライブの出演順をお客さんが多く来やすい時間帯に入れてもらえたりなど
メリットも出てくるかもしれません。
もちろん、そんなに甘いものではありませんが、人間関係というものはどんなときにあなたの助けになるかわかりません。

これらのように、お客さん抜きでおこなう打ち上げを関係者打ち上げなどといい、
「今日の打ち上げはファンカットで」や「関係者だけで」などのように話がされます。


ファンをふくめて打ち上げをすることもあります。
この場合はバンドのスタッフに幹事をお願いすることが多くなります。
年齢にもよりますが、居酒屋で打ち上げということが多いでしょう。

ほとんどの場合は割り勘だと思いますが、
タレント売りしているバンドなどでは、メンバーは料金を負担せずに、そのぶん多くお客さんが負担するということもあります。

これは打ち上げもファンへのサービスの一環として考えていて、
バンドをファンとの間に気づかないうちに一線を置く方法でもあります。

打ち上げをライブと切り離して考えて、メンバー・ファンなどの立場を関係なしに普通に飲み会をやり、
友達・知り合いの輪を広げていこうというバンドと、
打ち上げもファンに提供する商品の一環で飲み会とは別のものだと考える、タレント売りしているバンドとの差ではないでしょうか。

後者が悪いというわけではありません。
バンドの方向性のひとつと考えるべきでしょう。

同じ音楽ジャンルのバンドがみんなそうしているからという理由で、
何も考えずにこれが当たり前だと思っているバンドもいるかもしれませんが。


対バンと合同で打ち上げをすることもあります。

それぞれのバンドのスタッフが協力して幹事をするのが一般的ですが、
どこかひとつのバンドのスタッフが代表して幹事をすることもあります。

この打ち上げ方法の場合、人数がかなり大勢になるので、できるだけ早めに会場を押さえなければなりません。
場合によっては居酒屋を貸し切りにしてしまうこともあります。

対バンから打ち上げ一緒にやりませんかと誘われることもあるかもしれません。

あなたのほうから「今日は打ち上げどうするんですか」や「打ち上げ一緒にやりませんか」と言って
対バンを誘ってみてもよいでしょう。


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